(読売 8月20日)
「見出し付けコンテストをやりましょう」
埼玉県立川越女子高校で、国語の佐藤弥生教諭(50)が
1年生のクラスで見出しを空白にした新聞記事のコピーを配った。
「子どもに携帯電話を持たせるべきかどうか」
対立した2人の識者の意見を紹介した記事を読み、
生徒らは黒板に自作の見出しを書いた。
携帯電話の所持を規制する、石川県の条例を取り上げた
記事について意見を聞いた。
「賛成。使っていて時々怖くなる」、
「反対。保護者がすべきこと」。
身近な携帯電話の話題だけに、生徒らも真剣に意見をかわした。
見出しを隠すのは、先入観を持たずに記事を読み、
自分で記事のポイントを考えるため。メディアリテラシーを意識した授業。
「今までは流し読みだったが、読み方が変わった感じ」と
渋谷瑞葉さん(16)。
いつもは朝学習の時間を使い、週1回、同僚教師と
記事や本の中から選んだ題材について、
生徒に翌週までに意見を書かせる。
題材は、死刑や教育、メディア論など幅広い。
大学入試で論文を書くためにも、
まずは社会の多くのことを学んでほしい。
佐藤教諭が、NIEを始めたのは約10年前。
生徒の読解力に物足りなさを感じ、週1回、
自分で関心のある記事をスクラップしてもらうことに。
初めは小さな記事しか張れなかった生徒も、
続けるうちに大きなテーマの記事を張るようになった。
「社会への関心が広がり、読解力も向上した」と手応え。
佐藤教諭は、「大学や社会人になると、自分で学ぶ機会が増える。
情報をうのみにせず、自分で吟味し活用できる力をつけさせたい」
机の上には、話題の本「1Q84」などと、
それらの書評記事のコピーが並んだ。
東京都立小石川中等教育学校の国語で、
4年生(高校1年)が5人1組に分かれ、書評記事を読み、
記事の優れた点や特徴を話し合った。
「難しい横文字ばかりで分かりにくい」
一人の生徒が記事について感想を述べると、
稲井達也主幹教諭(47)が、「読み手にそれなりの知識を求め、
レベルの高い書評」と解説。
書評欄は、著名な作家が書くことが多い。
この日は、「プロの書き手が本をどのように批評するのか」を
学ぶことが授業の狙い。
稲井教諭は、4月から月1冊、課題の本を出し、
生徒に批評を書かせている。
大学入試などを見据え、「批判的な思考力を付けさせたい」と、
読書感想文より難しい批評を書いてもらう。
「新聞は、身近な社会問題を考えさせやすい」
これまでも3年で、新聞と同じスタイルのコラムを書かせ、
今後は社説の要約などを授業に取り入れる方針。
新聞で社会を学ぶだけでなく、その情報を正しく理解し、
自ら発信する力の育成が進んでいる。
◆メディアリテラシー
テレビや新聞、インターネットなどのメディアを批判的に読み解き、
表現したり発信したりする力。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090820-OYT8T00185.htm
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