2009年9月3日木曜日

日本栄養士会 「栄養ケア・ステーション」先行モデル整備へ

(2009年8月28日 Japan Medicine(じほう))

日本栄養士会(中村丁次会長)は、2008年度から
全国47の都道府県栄養士会に設置してきた
「栄養ケア・ステーション(CS)」の中から、
効果的で効率的な栄養支援を行うモデルCSを選定。

市町村レベルでもCSを整備し、地域や医療機関から求められる
栄養管理・指導(特定保健指導含む)を提供する受け皿としたい。

08年度に始まった特定健診・保健指導制度の中で、
管理栄養士の位置付けが明確化されたことを受け、
特定保健指導を含む地域や医療機関からの栄養管理・指導に
対する受け皿として、日本栄養士会では
全国47都道府県に栄養ケア・ステーションを設置。

将来的には、実際の活動拠点となる市町村レベルにもCSを設置、
医療機関や市町村との契約主体とするとともに、
介護者・患者を含む住民に対する栄養支援拠点としたい考え。

日本栄養士会では、国から委託された
保健指導・食育活動拠点整備事業として、
47都道府県のCSの中から10カ所程度を、
全国を主導するCSとして選び、先行的に整備を進める方針。

全国展開されたものの、医療機関との連携に力を入れている
CSもあれば、介護分野に重点をおくCSもある。
活動規模や取り組み内容は、CSごとにバラツキがあるため、
今後の市町村レベルでの展開に向けて、
効果的で効率的な栄養支援を行うための方法を確立。

今後の構想について、迫和子常務理事は、
「訪問看護ステーションのように、医療機関が多いところに設置し、
住民や地域に向けた栄養支援ができるようにしたい」

モデルとなる10カ所については現在調整中で、
年内にはモデルCSの特徴や取り組みなどの途中経過を示し、
年度内に報告をまとめる。

◆特定保健指導が求める個別指導

日本人のライフスタイルの多様化に伴って、医療同様に、
栄養指導にも個別的なアプローチが求められるようになった。
従来の集団的なアプローチでは、「制限の指導」に陥りやすい。
今も、医師や保健師の指導には制限中心の指導が多い。

40代に、コレステロールが高いために卵の摂取を制限された人が、
70代となり、低体重・低栄養になっても制限を守っていることがある。
「食事制限は、ある意味簡単。
年齢や状態によって、指導内容は変わるべきであるのに、
その後も制限がマイナス要素として残ってしまうことがある」

特定保健指導や高齢者の介護予防をはじめ、
十分なアセスメントに基づいて、行動変容を促すための
個別的な指導が求められる。

管理栄養士は、医師や保健師と共に、特定保健指導の
実施者として位置付け。
日本栄養士会では、各都道府県栄養士会と共に、研修事業を行い、
約1万5000人の管理栄養士・栄養士が研修を修了。

◆エビデンスベースドの食事療法

食事療法は、生活習慣病の治療にとって、薬物療法や運動療法と
同様に重視されるべき治療法だが、食事内容と治療成績との関連を
示すエビデンスが乏しいことや、診療報酬上のインセンティブが
低いことなどから軽視されがち。

日本栄養士会は、CKD(慢性腎臓病)の重症化予防に向けた
国の戦略研究FROM-Jに協力し、
<1>食事療法の有効性(アカデミックエビデンス)
<2>効果的な医療システムの有効性(メディカルエビデンス)
<3>管理栄養士活用の有用性(プロフェッショナルエビデンス)
の確立を目指している。

昨年10月からの介入に先立ち、全国のCSで研究方法の確認が
行われ、栄養指導の標準化を図った。
「CKDや糖尿病への対策が急がれる中、
短時間で成果が上がることを期待したい」(迫常務理事)

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/8/28/106594/

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