(2009年8月26日 毎日新聞社)
大阪市大大学院医学研究科の関山敦生・客員准教授(43)が、
兵庫医科大と共同で、うつ病や統合失調症などの精神疾患を
判定できる血液中の分子を発見、
血液検査に基づく判定法を確立。
問診や行動観察が主流だった精神科診療で、
客観的な数値指標を診断に取り入れることができる。
疾患の判定だけではなく、ストレスの強度や回復程度もわかる。
関山准教授は、日本心理学会で発表。
ストレスや感染などを受けて、生成・分泌されるたんぱく質
「サイトカイン」の血中濃度データの差異を積み上げて分析。
データをパターン化することで、心身の変調やうつ病、
統合失調症などを判定できることが分かった。
精神疾患の約8割を占めるうつ病や統合失調症について、
3000人近くのデータから疾患の判定式を作成。
別の400人の診断に用いた結果、うつ病の正診率は95%、
統合失調症は96%に達した。
精神疾患の判定だけではなく、健常者に対するストレスの
強度、疲労からの回復スピードも数値化。
80人の男女を対象に、計算作業で精神的ストレス、
エアロバイクなどで身体的ストレスを加える実験を実施。
いずれのストレスを受けたか、100%判別することに成功、
ストレスの強度を数値で評価できる方法も見つけ出した。
精神疾患とともに、サイトカインと関係の深い糖尿病、
骨粗しょう症などについて、早期発見を含めて
診断できるように研究を進めたい。
関山准教授は、「心身の健康管理のためのツールに成りうるのでは」
◇実用レベル世界初--徳野慎一・防衛医大准教授(防衛医学)の話
精神科領域での客観的診断は課題だったが、
実用レベルとしては恐らく世界最初のもの。
採血結果を基に、カウンセリングを勧めることが可能になるなど
高い利用価値がある。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、
他の精神疾患診療にも役立つのではないか。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/8/26/106450/
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