2009年9月4日金曜日

NIE20年(4)新聞活用 大学授業でも

(読売 8月22日)

大学も、新聞活用の学習効果に着目する。

「障害者、高齢者になったつもりで意見を書いてもらいます」
近畿医療福祉大で、精神保健学の授業に朝刊が運び込まれた。
約50人の受講生たちが新聞を選び、受け取っていく。
新聞が提供されるNIE実践指定校は本来、小中高が対象だが、
NIEの効用を知った勝田吉彰教授の働きかけで、
大学で初の指定となった。

「新聞のどの面でもいいから、障害者たちが関心を持つ記事を読み、
それについて気持ちを代弁してください」と勝田教授。
思い思いに新聞をめくる学生たち。
「不満系に限らず、喜び系、ほのぼの系、なるほど系などでも……」
学生たちは、専用A3プリントの片側に記事を張り付け、
片側のマス目にペンを走らせる。

うつの人たちが集まって悩みを話し合い、
心の均衡を取り戻したという、読売1面連載
「日本の活力 壁を越えて4」を選んだ松本久美さん(20)。
「若い人でも、うつになる人が多い。
理解してもらえると、安心した気持ちになれる。
障害者は、地域で認めあうことが大事」

読売の「人生案内」は、摂食障害の夫に嫌悪感を抱く妻の相談。
目をとめた弘田竜一さん(20)は、
「自分を振り返らず、夫の非ばかりを言う。
『あなたの意識、態度を変えた方がいい』という
海原純子さんの回答に納得」

同大では、3年になると施設で1か月実習する。
以前は、高齢者や障害者と話が合わず、
相手に気を使わせてしまう学生もいた。
勝田教授は、「福祉に携わるなら、相手の気持ちを推し量り、
代弁できる力が必要。新聞には投書欄をはじめ、
弱者らの意見が多く紹介。理解し共感できるかどうか?
新聞は教材の宝庫

心理学を担当する遠藤正雄講師も、新聞活用を始めた。
授業で学んだ理論を踏まえ、新聞記事から「人の心」について
意見をまとめさせる課題を出したりする。

横浜国立大教育人間科学部。
良きNIE実践者が出てほしい、と創設された科目「新聞と教育」が
5年目に入った。
大学教員のほか、経験豊かな小中学校教諭、元記者などを
講師に招き、学生は授業の構想、発表まで行った。

講師の一人、臼井淑子横須賀市立田戸小教諭は、
「児童が興味を持つようにし向けることが大切」と説明。
「にこにこ新聞」、「うまいもの新聞」など各自好きな題字に合わせた
記事を集めさせたり、子どもたちが関心を持つニュース記事をもとに
質問するクイズ大会などの指導案を紹介。

社会人から編入した村上一仁さん(30)は、
「新聞をどう活用するのか想像できなかったが、
いろいろな方法が分かって参考に」
担当の高木まさき教授は、「受講生の多くが、中教審の求める
『言語力』や『社会力』を高めるのに、自分にも役立ったと答えている」
情報を選び、集め、伝える力を育てるNIE。
その手法を、大学も取り入れている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090822-OYT8T00270.htm

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