(サイエンスポータル 2009年9月2日)
メタボリックシンドロームを引き起こすタンパクを、
尾池雄一・熊本大学大学院医学薬学研究部教授が突き止めた。
このタンパクは、アンジオポエチン様タンパク質2(Angptl2)と
呼ばれ、血管新生因子のアンジオポエチンに
構造が似た分泌型タンパクの一種。
尾池教授は、Angptl2が肥満の脂肪組織に多く見られることに着目、
マウスとヒトでどのような働きをしているかを調べた。
肥満になると、内臓脂肪組織で慢性炎症が起き、
動脈硬化症や糖尿病など生活習慣病を引き起こすことが
ここ数年の研究で明らかに。
尾池教授は、肥満や、インスリンの働きが低下して
糖尿病、動脈硬化症になっているマウス、ヒトいずれにおいても、
血液中のAngptl2濃度が高くなっていることを突き止めた。
Angptl2があまり見られない皮膚に、
Angptl2が過剰に現れるマウスをつくると、皮膚に炎症が生じた。
Angptl2を欠くマウスでは、肥満で見られる内臓脂肪組織の
炎症の程度が、正常な野生型マウスに比べ軽度で、
糖尿病を発症しにくい。
これらの結果、尾池教授は、肥満の内臓脂肪組織では
Angptl2が増加し、脂肪組織の慢性炎症を引き起こしていること、
その結果、全身でインスリンの働きが低下、糖尿病の発症に
つながっていることが分かった。
Angptl2の発現を抑えることで、メタボリックシンドロームや、
糖尿病、動脈硬化症の発症を抑える治療薬の開発に
つなげることが期待。
http://scienceportal.jp/news/daily/0909/0909021.html
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