2009年9月6日日曜日

高齢者が日本経済を救う?

(日経 2009-08-22)

「何のしがらみもない老人こそ、日本の政治を変えられる。
老人がこの国の救世主となるのです

ドラマ「結党!老人党」にこんなセリフ。
主人公は、定年退職後に平穏な日々を過ごしていたが、
息子の「好きなことをやれば」という何気ない言葉がきっかけとなって、
衆院選に立候補。
あれよあれよという間に総理大臣になり、政治改革を成し遂げる。

政治と同様、日本経済も苦境にあえいでいる。
外需は、中国向け輸出が伸びて立ち直る兆しを見せているが、
内需の大半を占める個人消費は低迷したまま。
失業率が悪化の一途をたどり、賞与や残業代が削られてしまっている中、
消費にお金を振り向ける気持ちにはなりにくい。

明るい材料がないわけではない。株価の上昇だ。
3月、7000円台割れ寸前まで落ち込んだ日経平均株価は、
今では1万円台を回復。
株価上昇によって、金融資産の評価益が増えて、
消費を押し上げるという資産効果が期待。

特に注目されるのが、他の年代よりも多くの金融資産を
保有している高齢者。

大和総研の渡辺浩志エコノミストは、
「定年退職していれば、雇用不安を感じる場面は少ない。
収入も年金が中心のため、景気変動で大きくぶれる可能性は小さい。
今のような状況でも、高齢者には資産効果が出やすい」

現に総務省の家計調査をみると、
世帯主が70歳以上の世帯の支出は、今年2月を底に回復、
6月には9カ月ぶりに前年同月比プラス。

現時点では、高齢者の資産効果が如実に表れている、
というわけではない。
「ウオーキングシューズの売れ行きは高齢者を中心に順調」(アシックス)、
「ゴルフ場を利用するシニアの人数は底堅く推移している」
(アコーディア・ゴルフ)といった声を聞くことができたが、
両社とも最近の株価上昇の影響は感じられない。

三菱総合研究所の武田洋子シニアエコノミストは、
「高齢者の支出が増えたのは、子どもや孫への援助が
理由になっている可能性もある」

高齢者の人気スポットで、ドラマのロケーション撮影が行われた
巣鴨地蔵通り商店街でも、威勢のよい言葉は出てこなかった。
同商店街振興組合の木崎茂雄理事長は、
「世の中が暗いニュースばかりなので、お年寄りも不安になって、
節約してしまう」とため息。

木崎理事長によると、商店街全体の売り上げは、
昨年を下回ったまま。

ドラマで主人公の背中を押したのは、
「好きなことやれば」という息子のひと言。
高齢者が安心して消費できるようにするには、何が必要なのか?

日本総合研究所の小方尚子主任研究員は、
「新しい成長産業を生み出す必要がある」

折しも、衆院選は終盤戦を迎えている。
どの政党の政策が、高齢者の消費に火をつけられるのか。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/syohi/syo090821.html

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