(読売 8月29日)
新聞を教育に生かす教師たちが集い、研さんを積む。
山梨県の清里高原。
三角屋根で知られるキープ協会の清泉寮で、
日本NIE研究会の「清里フォーラム」が延べ約30人が参加。
幹事らは、早速、机といすを並べて研修会の準備に。
2泊3日の初日、ゲストの山梨大学付属小学校長の
岩永正史・同大教授が、「国際学習到達度調査(PISA)は、
これまでの国語科の足りない部分を突いた。
新聞は、それを補う手段の一つとして非常に重要」
「新聞教育の原点を探る」と題して、柳澤伸司・立命館大学教授が、
「戦前は国威発揚、戦後は民主主義で使われた。
いかようにも使える両刃の剣でもあるのに、
先生自身が新聞を批判的に読めていない」などと問題提起。
これには、「新聞論としてNIEをやるのではない。
それを超えて、子どもの育成に役立つ部分はあり、
理解して活用してもらうのがいい」と異論が入るなど活発な議論。
2日目、3人の実践報告の後、「次世代読者をどう育てるか」を
新聞関係者を交えてパネル討論。
最終日、昼の解散前に3人が実践報告する濃密な日程。
実践者のレベルアップをめざし、研究会が設立された
2000年の第1回から数え、夏合宿は10回目。
当初からのメンバー、岸尾祐二・聖心女子学院初等科教諭は、
「毎年楽しみ。仲間の熱意と成果にふれ活力をもらう」
日本新聞協会の初代NIEコーディネーター時代、
結成を呼びかけたのが、研究会会長の妹尾彰さん。
「研さんと親睦の会だが、よく続いたなと思う。
ここから地域で先導的役割を果たす人材が育った」と感慨深げ。
「あまり実践したことのない教師から、なぜ新聞なのかという声が
まだ聞かれる。私たちの使命は終わりません」と気を引き締める。
いち早く、1987年に教育界と新聞社が協力、
「県新聞教育研究会」を結成、NIE先進地といわれる茨城県。
元小学校長で同会長を務めた儘田茂樹さんは、
「日の当たらないまま、個人で頑張っても限界がある。
会が研修会を開いたり、実践発表の場を設けたりして、
NIEが一気に県内に広まった」と振り返る。
県教委の理解も得るよう努めた結果、NIEに携わる教師は
子どもの指導、学級運営にも優れていると受け止められる。
東京では、都NIE推進協議会の小学校部会が毎月、
千代田区の日本プレスセンターで勉強会を開く。
授業案や実践事例を持ち寄り、活発に情報交換を行っている。
仲間作りを進めようと、近県にも合同開催を呼びかけ。
日本新聞教育文化財団の調べでは、
自主的な勉強会は全国に23ある。
人材発掘、後継者育成も推進。
実践経験豊かな教師たちが主導する仲間作りが、
NIEの広がりを支えている。
◆継続支える経験者
日本新聞教育文化財団が、2003年度のNIE実践指定校に
今年春、追跡調査し、4割弱が現在も活動。
継続できている理由は、「熱心な先生がいるから」が60.9%。
継続に必要な点として、半数を超える学校が
「経験した先生からの助言と新聞の使い方の研修」、
「実践者を増やし学校全体で取り組む」を挙げた。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090829-OYT8T00247.htm
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