2009年9月10日木曜日

会議もっと活性化 司会はコーチ役

(日経 8月26日)

◆ひらの・けいこ
国際コーチ連盟マスター認定コーチ。
1997年からコーチ・トゥエンティワンに勤務、
数多くのコーチ育成に携わる。
総合情報サイト「オールアバウト」でコーチングに関する記事。
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いつも決まった人ばかりが発言する、
何も決まらないまま延々と続く——。
会議といえば、こうしたイメージを持つビジネスパーソンは
多いのではないだろうか。

コーチ・トゥエンティワンの平野圭子ディレクターに、
コーチングのスキルを使って、会議を活性化する方法について。

人件費の7~15%は、会議に費やされているとの調査結果。
社内メールなどのコミュニケーションツールが発達したとはいえ、
込み入った情報伝達や意思疎通に会議は欠かせない。
それが、コストに見合った成果を出しているかといえば、
そうとは限らない。

会議を有益な場に変えるには、どうすればよいのかは、
ビジネスパーソンにとって重要な課題。
「相手の自発性を促し、目標を達成させる」コーチングのスキルを、
会議の場で効果的に応用することで、会議を活性化し、
価値ある場に変える方法を紹介。

◆ダラダラしない 数値化したゴール明言

会議のファシリテーター(司会役や主催者)が最初に確認しておくこと
(1)時間通りに始める
(2)ファシリテーターの役割を参加者に説明する
(3)参加者に、会議にどのように臨んで欲しいのかを伝える
(4)参加者同士の自己紹介を促す
(5)会議の目的と目標を確認する
(6)会議終了後のアウトプットイメージを参加者で共有する
(7)会議の進め方を確認する

コーチングは、馬車を意味する「コーチ」を語源。
相手を目的地まで送り届けるという意味。

会議でよくありがちなのは、結論が出ずに、だらだらと続くこと。
会議の主催者や司会者(ファシリテーター)は、
最初に会議の目的地(ゴール)を明確に。

会議が終了したとき、達成したいことを明言しておくと効果的。
「新商品の発売日を決める」、「企画案を20個出す」、
「各部署の課題を5つ具体化する」など、できれば数値化。

ホワイトボードなどに書けば、途中で脇道にそれたとしても、
すぐに戻りやすくなる。

◆自由な発言促す 強み引き出す質問用意

時折、会議が特定の人の独演会になり、
残りの参加者は聞いているだけという状況に陥る場合も。
会議は、一方通行のコミュニケーションで終わってしまう。

参加者同士の双方向のコミュニケーションを引き起こすには、
司会者の質問スキルが決め手。
「今の話を、他の視点から見たらどうだろう」、
「このことについて君はどう思う」など、他の人の意見を引き出す
質問を、いくつか用意しておくとよい。

参加者が自由に発言したり、活発に意見を交わしたりするには、
「安心感」があることが大前提。

これを促すには、コーチングにおける「承認のスキル」が有効
発言者の内容を引用するとき、「○○さんが言ったように」と
名前を付け加えたり、会議の最後に一言ずつ感想を言いながら、
お互いにどのように影響し合ったかを話したりすると、
参加者の万能感が増す。
「自分は会議に貢献できた」という気持ちにさせる。

次回同じメンバーで会議するとき、前回以上に互いに
会議に貢献するようになり、積極的に発言するようになる。

人にはそれぞれ強みがある。
会議のファシリテーターは、参加している人の特性を事前に把握し、
その人が持っているリソースの有効活用を意識すると、
会議は豊かな場に。

ブレーンストーミングのコツ
(1)ブレーンストーミングとは「グループシンキング」である
(2)どんなアイデアでも絶対に否定しない
(3)ばかげたアイデアほど新しい可能性を広げる
(4)アイデアは良しあしを選別せず、すべて記録する
(5)質より量、1人で考えるより大量のアイデアを出すことを目標に

ユニークな発想を持っていたり、アイデアが豊富だったりする人には、
ブレーンストーミングの会議で口火を切ってもらう、
冷静で分析的な人には、意思決定の会議など判断材料を提供してもらう、
話をよく聞いて気持ちを理解する人には、問題解決の会議など
コーディネーター的な役割を担ってもらうなど、
それぞれの強みを会議で生かしてもらう。

ミーティングの目的を特定するのも効果的。
参加者同士の結束をはかるチームミーティング、
特定のナレッジを共有するフォーカスグループ、
プロジェクトの進ちょく状況を確認するミーティング、
1対1の対面ミーティング、
報告を目的としたリポートミーティングなど、
目的別に開催するとムダが少なくなる。

決定した事項が実行されるかどうかが、
会議の最終的な成功のカギ。
(1)途中経過を確認する電話会議などの回数を決める、
(2)メールで情報共有するフォーマットを決める、
(3)目標を達成するまでの会議の日程を決めておく——
といったフォロー体制を決めておくと、
会議で決めたことを実行しようとする気持ちを維持。
目標達成までの責任を共有できる仕組みを作ると、より効果的。

会議を運営するファシリテーターは、会議におけるコーチ役。
会議の目標を明確にする、参加者のリソースを引き出す、
具体化するために質問をする、安心感を作り出す場を提供するなど。
これは、まさにコーチング。

最初に決めた目標達成をミッションとしたコーチ役を担うことを
意識すれば、会議は方向性と戦略性を持った有益な場に。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090826.html

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