(読売 8月27日)
日本語学習に、新聞が活用されている。
トルコのチャナッカレ・オンセキズ・マルト大学で、
学生らの手により、色とりどりの日本語の「新聞」28枚が
教室の壁に張りだされた。
学生たちが考えた記事のテーマは、「トルコのごみ問題」、
「化粧品は必要か」、「トルコでスカーフをかぶる女性」、
「1日何時間寝ればいい?」、「2010年は『トルコにおける日本年』」など。
指導した教育学部日本語教育学科の工藤育子専任講師(36)
(現在、中国の蘇州淑徳語言学校勤務)は、
「一般の人にも読んでもらおうと、各自が見出しやレイアウトを工夫。
学生たちの日本語力がさらに増したはず」
トルコ西部のトロイ遺跡に近い国立大学。
日本との関係強化などを望む国の方針で、1993年に同学科が設立、
約140人の学生が日本語や日本の文化歴史などを学んでいる。
1年生は、予備課程で1年学習した上で入学し、日本語は初中級レベル。
同学科の学生のほぼ半数が研修、留学などで訪日する機会を持つ。
工藤さんは、「日本で、より深い交流をしてもらうため、
自分の考え方やその背景をしっかり説明できる文章が
書けるようになってほしい」
昨年一時帰国した際、NIE(新聞活用学習)の授業例に、
「自分新聞」というのがあるのを知り、自分を紹介しアピールする
文章を書かせる授業で、この手法を思いついた。
日本の新聞を読ませ、見出しのつけ方なども教えた上で、
各自がA3用紙1枚に4テーマのコラム記事にまとめた。
グルジア出身の留学生ラシャ・ボルクワゼさん(20)は、
「なぜトルコに来て日本語を勉強しているのか」を書いた。
「トルコ語と日本語を同時に勉強しています。
将来は駐日大使になりたい」と夢を語る。
エスラ・デミルタシュさん(20)は、「ダンスのおかげで変わった私」
という題で、消極的な自分が大学でラテンダンスに出会い、
明るく変わった様子を紹介。
「みんなにわかるように書くことができるか、心配だったが、
形にすることができてよかった」とエスラさん。
「教科書よりも新聞をやりましょうよ」
中国の瀋陽薬科大学で、NIEを活用して日本語を教えている
多田俊明さん(64)は、学生たちからよくそんな声をかけられる。
将来は、日本に留学したり日系企業に就職することを希望する
学生が多く、日本の出来事や事象に強い関心を示す。
元記者の多田さんは、定年退職とほぼ同時に日中交流事業で
中国に渡った。
ネットから新聞記事を取り出し、重要な単語や表現をまとめて
プリントを作成したり、読売新聞が学校向けに開発した
「読売ワークシート」も活用したりしている。
教員会議で日本のトピックスを聞かれた際、
とっさにワークシートで扱った、オタマジャクシが空から降ってきた
“事件”を話したら、とても興味をもたれた。
「『車の上にぽたぽた落ちて』というのも独特な表現。
ぼちゃぼちゃ、ぱたぱたなどとどう違うのか、
擬態語を覚えさせるいいきっかけに」
学生たちは7か月ほどで会話に不自由なく、
新聞も楽に読めるようになるそうだ。
外国で生きた日本語を学ぶのに、NIEが大きな力になっている。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090827-OYT8T00276.htm
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