2009年9月6日日曜日

NIE20年(6)免許講習で記者体験

(読売 8月26日)

教師が、教員免許更新講習でNIEを学ぶ。

新聞記者に“変身”した約60人の教師が、鋭い質問を投げかけた。
「オリンピックに出場できた理由は」、
「日の丸を背負う感じは」――。

愛知教育大で、NIEをテーマに開かれた教員免許更新講習。
ゲストの北京五輪シンクロナイズド・スイミング代表の
石黒由美子さん(25)を相手に、受講した教師らが記者役になり、
模擬記者会見に挑んだ。

「あきらめなかったから」、
「メダルを逃したら日本に帰れないと思っていた」――。

石黒さんは子どもの頃、交通事故で540針縫うけがをしながら、
五輪代表まで選ばれた気持ちを語った。
約30分のインタビュー後、教師らは悪戦苦闘しながら
400字の記事にまとめた。
記者にふんして質問した尾張旭市立東中学校の二村尚文さん(33)は、
「NIEは、やったことがなかったが、これを機に
短い時間からでも始めてみたい」と満足そう。

「新聞づくりの大変さ、難しさを実感してもらうことが狙い。
文字の裏にある、人のかかわりを分かってもらえたら」と
講師を務めた土屋武志教授(49)。

講習でNIEを取り上げたのは、コミュニケーションに有効との考え。
言葉や文字で考えを伝えるのに、簡潔にまとめる新聞記事は
参考になり、その作成はトレーニングになる。
伝える技術だけでなく、新聞から様々な話題を知ることで、
「子どもが友人や親と話す際、内容のあるコミュニケーションにもなる」

NIEと聞くと、尻込みしてしまう教師もいるが、
「子どもに、『なぜ』、『どうして』と疑問を持たせるような
授業を行ってほしい。新聞にはそんなネタがたくさん転がっている」

「環境問題をテーマに記事を切り取ってください」
北海道教育大函館校で、NIEを題材に開かれた講習で、
阿部二郎准教授(52)が受講生の教師約20人にそう呼びかけた。

エコポイント制度や異常気象のニュースなど、
教師らは目についた記事を切り抜く。
グループごとに各自が持ち寄った記事を分類し、
全体のタイトルを考えた。
あるグループは、記事を「自然」、「リサイクル」などに分類、
全体に「自然と活用」というタイトルを付けた。
情報をどう取捨選択し、活用するかを学ぶ講習。

その一方、ある新聞社の英文サイトに昨年、不適切な記事が
そのまま掲載された問題などを挙げ、
「記事をうのみにせず、自らチェックした上で扱うべき」と、
情報活用の注意点を付け加えることも忘れなかった。

阿部准教授は、「新聞に載っている記事の量を見れば、
今の社会で重要視されているテーマが何か分かる。
記事を拾い集めて今を知る。
新聞という窓から世の中を見て、
早く大人になるのはいいこと」と意義。

教師は講習でNIEを学び、その成果は学校に広がっていく。

◆教員免許更新講習

今年4月から始まった教員免許の有効期間を10年間とする制度、
大学などが開設した講習。
教員免許を更新するには、教師は必修と選択合わせて
30時間の講習と修了認定を受けることが必要。
今年度は必修で、約15万1000人分の講習が用意、
受講の申し込みがないなどで廃止された講習も。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090826-OYT8T00232.htm

0 件のコメント: