2009年4月25日土曜日

WHO 今年中にも新基準を公表へ HbA1cを糖尿病の診断基準に

(2009年4月17日 Japan Medicine(じほう))

世界保健機関(WHO)が糖尿病の診断基準に、
HbA1c値を導入する方向で議論を進めている

カットオフ値は、HbA1c値と糖尿病網膜症の発症率との相関を検討し、
定める方針。
空腹時血糖値をはじめとした従来の診断基準では、
持続性高血糖を十分に示していないと判断。
今年中にも、新たな診断基準を公表。

WHOがもともと1998年に定めた糖尿病の診断基準は、
<1>空腹時血糖値≧126mg/dL
<2>75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)2時間値≧200mg/dL
<3>糖尿病の症状と随時血糖値≧200mg/dL
以上のいずれかの場合。

改訂に際し、WHOでは各国の糖尿病の専門家を一堂に集めた
「エキスパート・コンサルテーション・ミーティング」を開催。

日本の代表として会議に出席した日本糖尿病学会の門脇孝理事長
(東京大大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授)は、
「従来の診断基準とともに、HbA1cを取り入れようという意見が相当強かった」

HbA1cの有用性は指摘、測定法の違いや国家間での
測定値のバラツキがあることが国際的な指標として用いる上での課題。
2007年から国際標準化が進み、“バイアス”が解決、検討をスタート。

HbA1cは、採血時から過去1、2カ月間の平均血糖値を反映する指標。
インスリン作用の不足を示す“持続的な高血糖”を示すのに
「今、考えられる一番良い指標」
1人の患者が異なるタイミングで検査を受けた際の再現性も高いというメリット。

従来指標として用いられてきた空腹時血糖値や75gOGTTは、
空腹時やブドウ糖を負荷した特殊な条件下で測定、
「24時間の血糖値を反映する指標にはなりにくい」(門脇氏)。
検査前何日かの食事内容の影響を受け、再現性も懸念。

治療目標として活用されているHbA1cが診断基準に加わることで、
「診断の根拠から治療のターゲットまで一貫し、空腹時の採血も必要ない。
プライマリケア医にとっても患者さんにとってもメリットは大きい」

HbA1cを指標として用いる上での課題について、
「赤血球寿命が短縮している病態には使えない」
溶血性貧血や肝硬変、出血があるケースなど。
「アフリカで発生しているマラリアが溶血性貧血を起こすことから、
今回の会議でも議題に」
従来の空腹時血糖値や75gOGTTでの診断が必要。

日本糖尿病学会の診断基準検討委員会では、
このような世界の流れを踏まえ、議論をスタート。

現行のガイドラインでは、
<1>早朝空腹時血糖値≧126mg/dL
<2>75gOGTT2時間値≧200mg/dL
<3>随時血糖値≧200mg/dL
を2度以上確認、または1度確認し明らかな糖尿病の症状がある、
など持続的な高血糖の存在に合致する所見を有する患者を糖尿病と診断。

基準は、「日本独自の根拠をもって決めた」ことから、
空腹時血糖値や75gOGTT2時間値の診断基準に該当する
HbA1c値についてのわが国のデータを検討。
網膜症の発症率についても検討。

広島原爆障害対策協議会が行う「被爆者の健康管理に関する調査研究事業」
のデータを引き合いに出し、HbA1cが(現在の治療目標である)6.5%以上を
超えると、「明らかに網膜症の発症率が増加」

「早期発見・早期管理のため、6.5%より低い値が望ましい。
わが国のHbA1c値とWHOや米国でのHbA1c値の間の“バイアス”も
十分に考慮に入れて策定をする必要」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/17/95463/

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