2009年4月22日水曜日

「グランドスラム」への扉(9)盛田正明氏 協会改革へ「情熱」に訴え

(日経 3月25日)

盛田氏はソニー生命保険の会長時代、女子テニスの日米対抗戦を企画。
日本テニス協会から大会主催の公認がなかなか下りないため、
会長が誰かと思って調べたら、
福岡県の百貨店、岩田屋元会長の中牟田喜一郎さん。
岩田屋は、ソニー創業のころから九州で最大の販売代理店で、
中牟田さんのことはよく知っていた。

中牟田さんに直接お願いしたところ、しばらくして主催が決まった。
「ソニーライフ・カップ」は、モニカ・セレスや沢松奈生子、杉山愛ら
日米のトップ選手を招待し、神戸と広島、福岡で1997-99年に開催。
中牟田さんも、テニス協会会長として大会に来られ、
私がテニス好きなことを知ったようだ。

98年、ソニー生命の名誉会長に就いて、経営者としては現役を引退後、
大好きなテニスで日本人のトップ選手を育てるファンドをつくることを考えた。
社会貢献というよりも、私が楽しむことが目的。
財団法人を設立するための手続きに思ったより時間がかかった。

中牟田さんが福岡からわざわざ東京に私を訪ねてこられた。
テニス協会会長を継いでほしいという。
私はテニスは好きだが、大会に出場したことはない。
何度も断ったが、最後は断り切れずに要請を受けることに。

盛田氏は2000年、日本テニス協会の会長に就任。
よく協会会長になったからファンドを設立したと誤解されるが、
ファンド設立と協会会長はまったく関係がない。
協会会長になることは想定外だった。

就任してみると、協会は多くの課題を抱えていることが分かった。
バブル景気の時期に支出を増やしたことが原因で、収支は赤字。
なんとかしなければと考えたが、財団法人の会長には
株式会社の社長のような権限はない。

最初は、大変なところへ来てしまったと思った。
協会の役員など、関係者はみんな活発に意見は言うが、
自分からはなかなか行動しない。
人を動かさなければ、改革はできない。

権限なしに人を動かすにはどうすればよいか。
会社と違って協会の素晴らしいところは、
全員が「テニスが好き」で「テニスへの情熱」を持っていること。
これは大きな武器。

一般的な会社では、社員全員が同じ思いを共有しているとは限らない。
お金のためや腰掛けで働いている人もいるだろうし、
そういった社員が情熱を持って仕事に向き合っているかは分からない。
協会では、テニスに対する「ハート」に訴えれば動いてくれる。
それが分かってからは、徐々に私の話に耳を傾けてくれるようになった。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/hiroku/hir090324.html

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