2009年4月20日月曜日

ユニクロ式、満足保証の説得力

(日経 2009-04-11)

消費の冷え込みが深刻さを増している。
では、どれほど深刻なのか?

2月の百貨店売上高は11.5%も前年割り。
「単月で11年ぶりの2ケタ減」と報じられ、印象が強い。
2月の消費支出(2人以上世帯、速報ベース)は前年同月比3.5%減と、
12カ月連続で減少。
消費意欲の減退は、かなり深刻だ。

低価格販売で成長したデフレ型事業モデルの企業が好調なのも、
消費者が節約志向を強めている証左、ということに。
本当にそうだろうか?

デフレ型企業でも、実は明暗が分かれている。
例えば衣料品。既存店売上高で比較すると、
「ユニクロ」は2008年9月から09年2月までの累計で12.9%増と好調。
「ファッションセンターしまむら」は、1度も前年を上回っていない。
12月からの冬物商戦は7-9%も前年を下回った。

「消費不振を意識しすぎた。冷静さに欠けた」
しまむらの野中正人社長は率直に語る。
消費者が財布のひもを締めたとみれば、
割安感を訴求する戦術を採るのが常道。

冬商戦に限ると、効果は薄かった。
「警戒すべきは、むしろ暖冬だった」
暖冬に売り逃さない商品政策を採っていたら、結果は変わっていたかも。

「ユニクロ」は、「ヒートテック」などの商品で品質を前面に掲げ、
宣伝力で押し切った。
統計数値が悪化し、不況に突入した昨秋以降、
多くの小売り・外食企業が消費意欲の減退を過大に見積もったフシが。
「消費不振」という観念にとらわれず、購買意欲をくすぐる余地があった。

MM総研によると、1-3月のパソコンの消費者向け販売は、
ネットブックを除いてもほぼ前年並み。
消費は冷え込みながらも、買い替え需要すら消えてなくなるほどではない。

パソコンの買い替えサイクルは年々、長期化。
買い替え適齢期の多くは、音楽編集や動画処理に不便。
散らばった潜在ニーズをどうまとめ、販売につなげるか。

店頭で、「ブルーレイの駆動装置が必要」と説明されれば、
そうだな、と思った消費者は少なくない。
テレビをフルハイビジョン画質で見るのが当たり前の消費者にとって、
標準装備がDVD駆動装置という仕様は、魅力がない。
メーカーの機種ぞろえからも、売り場の作り方からも、
最新のパソコンの潜在力や便利さを伝える熱意が感じられない。

消費者は、安さだけを求めてはいない。
「安くても、いや」という声も根強く響いている。
パソコン売り場には、今週末から春夏の新モデルが並び始める。
今回は、仕様の進化は地味め。
マイクロソフトのビスタに続く、次期OS(基本ソフト)が登場するまで、
厭戦気分が漂う、との予測も。

中長期的にみると、目先の需要をできるだけ食い尽くした方が得策。
消費不振の本番はむしろこの先、という可能性がある。
当面は、潜在する需要を細かく拾い上げ、消費者に満足を保証するような
力業の説得力が問われる局面が続く。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/syohi/syo090410.html

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