(2009年4月16日 毎日新聞社)
厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター部長)が
全国の40-69歳の男女約3万人を対象に実施した大規模調査で、
肥満でなくても、血圧や血糖値など血液検査値に異常があれば、
死亡の危険性が高まることが明らか。
国は、昨年度からメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策を
目的に、肥満に重点を置いた特定健診を始めたが、
研究班は「メタボ健診だけでは、太っていなくても病気を発症する
危険性がある多くの人を見逃す危険性がある」と指摘。
特定健診は、導入後3年で見直しされる予定で、
今後の議論の大きな根拠になる可能性が高い。
メタボと死亡率の関係について、10都府県の3万4000人を約13年追跡。
日本人を対象にした同様の調査では、最大規模。
心筋梗塞など虚血性心疾患は、メタボの場合、
男性で約3倍、女性で約2倍、死亡する危険性が高かったが、
肥満ではない人でも血圧や血糖値などが診断基準を超えた場合、
死亡の危険性はメタボの人と同様に高かった。
病気の種類を問わない男性全体の死亡率も、メタボの有無による違いはない。
8県の2万3000人を対象に実施した分析では、
虚血性心疾患の患者のうち、高血圧が原因で発症したと
推測されるのは全体の5割近く。
メタボによって発症した割合は2割未満にすぎず、
メタボ対策の効果は限定的。
日本人の死因の第1位であるがんの発症にも、メタボの有無は関係ない。
津金部長は、「肥満重点の対策で期待できる効果は小さく、
禁煙や血圧の管理など効果が期待できる対策を推進すべき。
今回のデータを、健診制度を見直す際に役立ててもらいたい」
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◇特定健診
メタボ対策による医療費削減を目的に、08年度から始まった。
会社や国民健康保険などの医療保険者に実施が義務づけ。
健康悪化は、腹部肥満が原因との学説に基づき、
腹囲や、身長と体重で計算する体格指数(BMI)が基準値を超え、
血圧、血糖値、血中脂質の血液検査値が基準値を超えた場合、
特定保健指導を受ける。
原則として、40-74歳の被保険者と被扶養者が対象。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/16/95450/
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