2009年4月23日木曜日

「グランドスラム」への扉(10)盛田正明氏 サービス充実、観客大幅増

(日経 3月26日)

2000年、日本テニス協会会長に就任した盛田氏は改革に着手。
就任後、全国各地域のテニス協会を訪問すると、
「テニス協会は役所のようだ」といった苦情。

事務局の対応や大会運営方法などが不親切で、
用件を問い合わせてもたらい回しにされて困ったと。
体育会的な風土からか、後輩である現役選手らにサービスするという
意識も欠けていたようだ。

翌年1月、私は事務局職員を集めて
「名称を、日本テニスサービス協会に変更したい」
選手やスポンサーなど「関係者全員をお客様と思い、
サービス精神を持って仕事をしてほしい」と訴えた。

次に取り組んだのが、「ジャパンオープン」の改革。
ジャパンオープンは、東京・有明で毎秋主催する国内最大の国際大会、
1996年に4万人を超えていた観客数は、2000年には2万7000人。
改革を誰の目にも見える形にするため、観客増員を目指した。

私は、米IMG創業者で友人のマーク・マコーマック氏に誘われて、
世界四大大会(グランドスラム)を毎年観戦してきたが、
観客数は2週間で50万-60万人規模に達する。
英ウィンブルドン大会は期間中、雨が降って
試合が中断することもたびたびある。
しかし、観客は帰らない。

会場に併設された店で買い物をしたり、食事をしたりして時間を過ごし、
年に1度のテニスの祭典を楽しんでいる。

ジャパンオープンは、テニス愛好家が熱心に観戦しているが、
試合が終わるとさっさと帰ってしまう。
食事は、冷たいお弁当で我慢するしかない。
有明に来るだけで、誰もが楽しめるテニスのお祭りのような大会に
しなければいけないと思った。

お弁当は温かくし、会場隣の広場に屋外フードコートや子供が楽しめるように
サーブのスピードを測る遊戯施設など、ゲームコーナーを併設。
観客数は年々増え始め、協会の職員や関係者から
次々アイデアが出てきた。

今では全国のテニスショップが出店し、
大会に来ればあらゆるテニス用品が買える。
観客数は、08年には過去最多の7万5000人に。

経費削減を進めた結果、協会の収支も就任3年目に黒字化。
日本オリンピック委員会が運用しているナショナルトレーニングセンターでの
選手強化費用が増えるため、08年4月から「ワンコイン制度」を始めた。
協会主催の国内大会に出場する選手に、
参加費に100円上乗せして支払ってもらう制度で、
景気変動の影響を受けず、スポンサーに頼らない財源を考えた。

将来は協会が主導して、各都道府県にトレーニングセンターを開設し、
日本を拠点に世界で勝てる選手を育てていきたい。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/hiroku/hir090325.html

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