(日経 4月14日)
◆呂 亜臣氏
1982年東北重型機械学院卒、中国第一重型機器入社、
副総裁などを歴任。2000年に上海電気グループ入社。48歳。
◆上海電気集団
中国の重電大手。1950年代、上海市政府の1部門として誕生。
発電関連設備、ディーゼルエンジン、鉄道製造などが柱。
2006-07年、経営陣が汚職の疑いで混乱もしたが、近年は収まっている。
中国が、原子力発電所の発電能力増強にカジを切った。
環境負荷が大きい火力発電所への依存を減らし、温暖化ガスの削減を
目指す姿勢を国内外に示す目的。
原発建設は巨額の投資が見込まれ、減速が続く中国経済の
テコ入れにもつながる。重電大手、上海電気集団(上海市)の
呂亜臣副総裁に原発ビジネスの戦略を聞いた。
——中国政府が原発に力を入れている。
「原発で発電している電力量は現在、中国全体の1.6-1.7%。
政府は、環境負荷の小さい原発の建設を進める方針。
3年で1カ所建設するペースだったが、今年は3-4カ所開設。
当社の原発設備製造事業にとって追い風」
——事業構造も原発事業へと軸足を移すのか?
「現時点の主力は、石炭火力発電設備の製造。
中国国内向け火力発電事業は、2007年まで急拡大したが、
それ以降は伸び悩んでいる。
東南アジアへの輸出が増えたため、成長を維持しているが、
中国国内向けは原子力発電事業の方が伸びる余地が大きい」
「07年の原発設備受注額は30億元(約420億円)、
08年には80億元にまで増えた。
原発制御関連装置も含めると、この2年間の受注は180元に達する。
07年、08年ともに原発事業は赤字だったが、
今年からは黒字に転換すると見込んでいる」
——原発設備製造で先行する日本企業との提携の可能性は?
「我が社としては、日本企業とぜひ提携したい。
日本側は、我々に技術を盗まれることを警戒。
提携はなかなか難しいのでは。
04年、日本を訪問してある企業と提携協議をしたが、
技術供与の了解は得られなかった。
今は日本から部品を購入しているが、その額は大きくない」
——保安・安全技術は十分か?
「第3世代と呼ばれる最新の設備を製造。
もし故障が発生した場合は、自動的にストップする仕組み。
日本製と遜色ないと考えている」
——原発以外の成長分野は?
「風力発電設備に力を入れている。
08年、200強の発電設備を製造したが、今年は500を見込む。
来年は1000に達する。
風力発電設備は現在、すべて国内向けに供給。
原発、風力発電の新エネルギー分野は今後、大きな伸びを示す」
——中国経済減速の影響は?
「中国経済は現在、世界経済と完全には連動していない。
これがプラスに働き、金融危機の影響は限定的。
中国政府は、農村の消費を支援する政策を打ち出し、
家電が普及すれば、当社の事業にもプラスに働く」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090413.html
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