(日経 4月11日)
◆朱 継民氏
1970年東北工学院鉱山建設学部卒、鞍山鋼鉄に入社。
97年水城鋼鉄集団董事長、2000年首鋼集団総経理などを経て現職。63歳。
◆首鋼集団
北京市に本拠を置く中国の大手鉄鋼メーカー。
粗鋼生産能力は近く、年間約2000万トンを計画。
鉄鋼のほか、採鉱、機械、電子、建築、不動産事業なども展開する
国有の一大企業集団。
世界最大の粗鋼生産国の中国だが、世界的な景気悪化で
鋼材需要が急速にしぼんでいる。
元々は海外に輸出する予定だった鋼材が流入して、
国内では供給過剰感が強まり、
鉄鋼メーカーの経営環境は厳しさを増している。
中国の鉄鋼大手、首鋼集団(北京市)の朱継民董事長に
中国鉄鋼業の現状や今後の経営戦略などを聞いた。
——世界的な金融危機が中国の鉄鋼業にどんな影響を与えているか?
「金融危機は、中国の鉄鋼業の過剰な生産能力を改めて浮き彫りに。
昨年9月から中国の鉄鋼業は、協調減産に突入。
今年の1、2月は一部で回復傾向にあったが、最近はまた、
メーカーが生産を減らしているのが現状」
「中国の鉄鋼業は、毎年4000万トン程度が輸出。
世界的な需要減少で、1月の輸出は190万トン超、2月は150万トン超、
前年同月比で50%以上も減少。
高付加価値の製品で、日米欧メーカーに先行を許している、
中国の鉄鋼業の構造的な問題も明らかに」
——中国政府は競争力強化を狙い、鉄鋼業界の再編を進めている。
「中国の鋼材は、低付加価値品の割合が高く、先進的な水準とは
まだ大きな開きがある。
政府の一連の政策は、中国の鉄鋼メーカーが世界で戦えるように
なるためには重要な戦略。
付加価値の低い中小メーカーが淘汰されることで、
中国の鉄鋼業全体の技術の高度化などにつながる。
首鋼は今後、研究開発や人材育成に重点投資し、
高付加価値製品の投入で存在感を高めていく」
——首鋼は北京からの製鉄所移転の受け皿として、曹妃甸(河北省)に
唐山鋼鉄と共同で新製鉄所を稼働する予定。
「4月に生産を開始する準備を進めている。
年産能力485万トンを目指し、第2期工事を進め、
今年末には同970万トンに引き上げる計画。
北京市の製鉄所(年産能力800万トン)はすでに半分を停止。
残りの400万トン分も、2010年末には生産を終了」
——首鋼の中・長期的な成長戦略は?
「曹妃甸の製鉄所は、最先端の技術を導入するため、
製品の競争力が高まるのは確実。
曹妃甸が本格稼働した以後、秦皇島(河北省)などに
新たな製鉄所をつくる構想も持っている」
「中国政府が奨励する企業統合(首鋼は、長治鋼鉄集団〈山西省〉などを
買収する方向で交渉中)なども、首鋼の規模拡大に。
首鋼は、従来の年産能力800万トンから同2000万トン以上に拡大し、
2012年には同3000万トン規模に成長する計画」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090410_4.html
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