2009年4月19日日曜日

レノボ・グループの柳会長「高・低級PCを強化、1年後に結果出す」

(日経 4月9日)

◆柳 伝志氏

1967年に西安軍事電訊工程学院を卒業。
中国科学院計算技術研究所の研究員だった84年、
計算技術研究所新技術発展(現レノボ・グループ)に参加。
総経理や会長などを務め、2002年からレノボの親会社、
聯想控股(レジェンドホールディングスの最高経営責任者(CEO)。
今年2月からレノボ会長に復帰。64歳。

輸出を中心に成長してきた中国経済が転機を迎えている。
全国人民代表大会(全人代)代表などを務める企業トップに、
今後の経営戦略などを聞いた。
第1回は聯想集団(レノボ・グループ)の会長に2月、
復帰した創業者の柳伝志氏。

——会長に復帰した理由は?

1番の理由は取締役会、株主、従業員のステークホルダー(利害関係者)
自信を与えるため。この1カ月間、会長から最高経営責任者(CEO)に
なった楊元慶氏をはじめとした経営幹部と、今後の戦略を練ってきた。
矢面には立つが、現場はCEOらに任せるつもりだ」

——復帰してから1カ月間の成果は?

「アメリオ前CEOが離任することで、経営幹部の人材流出を心配していたが、
そのような事態は生じなかった。
私が会長に返り咲くことで、経営陣とのあつれきも心配したが、杞憂だった」

「経営陣は、中国人と外国人がそれぞれ4人の計8人。
非常にうまく行っている。
会長に復帰したこの1カ月には大変満足」

——前会長として赤字転落の責任がある楊CEOの実績をどう評価するか?

「デルで、アジア地域を統括してきたアメリオ氏を招き、
楊前会長ら中国人経営者との間で切磋琢磨を続け、知識を吸収してきた。
(今回の赤字は)勉強代だと思っている。
レノボを取り巻く環境は厳しいが、どんな局面でも切り抜ける自信はある」

——業績回復はいつごろに?

「金融危機の影響は非常に大きいが、我々には競争力がある。
1年後には結果を出したい。
この1年間の取り組みを、成功かどうか判断する基準は、
業務用・個人向けなど市場ごとの出荷額や利益水準、株価動向など」

「レノボを経営して20年余り。多くの経営上の困難を経験してきた。
海外から招いたCEOから学んだことも少なくない。
今の困難な状況を乗り切る自信はある」

——世界のパソコン市場は調整局面にある。今後の戦略は?

「新たなパソコン部品がどんどん生産され、パソコンの本体価格も急落。
いかに在庫水準を少なくできるか、企業の管理能力が問われる局面。
市場ニーズを的確にとらえ、出荷量を調整していく。
高級品のノート型パソコン『シンクパッド』ブランドを伸ばす一方、
一般消費者向けの低価格帯の『レノボ』ブランドのデスクトップも拡充。
高級品と低価格品の2種類を強化する戦略は変わらない」

——海外市場が厳しいなか、中国市場の比重が高くなるのか?

「先進国での業務用パソコン市場が急速に落ち込む一方、
ノート型パソコンや低価格デスクトップはそんなに落ち込んではいない。
中国を含めた新興国では、社会の情報化を背景に
パソコンの需要拡大はこれからも続く。
中国国内や海外の新興国市場は強化するポイント」

中国政府が実施する農村地区でのパソコン購入費の一部負担政策
(電脳下郷)も追い風。
レノボは、同政策を管理する16の地方政府で、『電脳下郷』の案件を落札。
農村部でのパソコン販売は、都市部と異なる。
サービス・修理拠点のほか、パソコン教室など新たなネットワークが必要。
農村市場の開拓が簡単とは思っていない」

——現在は香港市場に上場。国内のA株市場にも上場する考えは?
深セン市場が準備している中国版ナスダック「創業板」はどうみるか?

「A株市場への上場は(既に準備を進め)、中国証券業監督管理委員会の
批准を待っているところ。
『創業板』が始まるのは、早ければ早いほうがいい。
資金回収できる場所を提供し、ベンチャー投資も広がる」

「中小企業の資金繰りを支援することもできる。
ベンチャー企業が持つ優れた技術に、外部から資金を注入することで、
中国の生産力の向上につながる」

——精華大学や北京大学がある北京市中関村にはITベンチャー企業が多い。
金融危機に直面した彼らにアドバイスは?

「ベンチャー企業の問題は、経営管理の人材不足と資金繰りにある。
中関村の経営者は、理科系出身が多く、経営管理面では問題が多い」

「企業の成長過程は、断続的に資金需要が発生。
この間に資金繰りが途絶えれば、問題が生まれる。
政府の支援が必要になるかもしれない」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090408.html

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