2009年4月25日土曜日

「グランドスラム」への扉(最終回)盛田正明氏 日本選手育成、10年計画で

(日経 4月1日)

盛田氏は、日本人選手は世界で戦う精神力や経験が不足していると指摘。
日本人は、テニスの技術は劣っていない。
日本人も、ジュニア選手は世界で活躍。
ジュニアは、技術が高ければ外国人選手にも勝てる。
プロになると、通用しなくなる。

プロテニスは格闘技だ。
グランドスラム大会になると、男子は1試合で3、4時間かかることも。
優勝を争うには、2週間かけて厳しい試合を勝ち抜かなければいけない。
どう最後まで気力を持たせるか。
自分の実力を90%出せるか60%しか出せないか、それで勝敗が決まる。

多くの日本人は60%しか出せない。
精神力や体力・気力で、負ける部分が大きい。
「おにぎりを食べないと力が出ない」などと言っているようでは勝てない。

女子でトップの杉山愛選手が、100%力を発揮できるのは
海外遠征に慣れ、英語で外国人と対等に渡り合えるからだ。
欧州は、テニスの世界では国境がなく、
子供のころから外国を飛び回って経験を積んでいる。
ジュニアを留学させている米IMGアカデミーには、
世界中からトップ選手が集まっている。

錦織圭選手は、普段は日本を忘れて戦っている。
環境さえ用意すれば、日本人でも絶対できる。

テニス協会会長になり、日本に国際大会が少ないと言われ、たくさんつくった。
日本にいても、国際大会に出場するためのポイントを稼ぐことができる。
グランドスラムの予選に出場できるが、多くが1回戦で負けてしまう。
欧米の選手は、日本の大会のためにわざわざ遠征に来ない。

中国や韓国などの大会とシリーズ開催し、
欧米の選手が数カ月アジア遠征して、ポイントを稼げる環境を
整えなければ、大会のレベルは上がらない。

盛田氏は、ジュニア育成が日本テニス発展のために最も重要。
企業が新製品を開発したり新しい事業を成功させたりするには、
10年単位で考えなければいけない。
現在経営が悪化している会社は、10年前に何もしなかったから、
今売るものが何もない。
いま業績がいい企業は、10年前の経営者が種をまいていたからだ。

テニスも同じだ。
錦織圭というトップ選手の出現が、日本テニスのレベルを底上げ。
錦織選手にあこがれるジュニアが増えている。
セルビア共和国という東欧の小さな国から、
トップ選手が数多く出ているのは、同国出身のモニカ・セレス選手の
活躍の影響が大きい。

今、ジュニア育成に力を入れておけば、私がいなくなったころに花が咲き、
世界で活躍する選手がもっと増えているだろう。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/hiroku/hir090331.html

0 件のコメント: