(日経 2009-04-09)
昨年秋以降、悲観一色だった台湾のIT業界に変化が出てきた。
1月下旬の春節休みが明けて以降、液晶パネルや半導体などの
受注が回復し、3月以降は株価も反発傾向。
景気の先行きには慎重な見方も根強いが、中国需要への期待と相まって
「最悪期は脱した」との楽観論も。
「(海外顧客の)在庫積み増しの動きが、輸出の回復につながった」
台湾の財政部(財務省)は、輸出が増えている理由をこう説明。
3月の輸出額は、前年同月比35.7%減の155億8510万ドル。
前年比でみると大幅減だが、絶対額では4カ月ぶりの高水準に。
前年比のマイナス幅も、12月の41.9%減を底に、
1-2月(37.2%減)、3月(35.7%減)とマイナス幅が縮小。
昨年秋、世界的な金融危機が広がって以降、
液晶パネルや半導体など台湾の代表的なIT産業は受注量が激減し、
操業率が大幅に低下。
台湾のパネル最大手、友達光電(AUO)や半導体各社が軒並み赤字となり、
ファウンドリー(半導体受託生産会社)世界最大手の
台湾積体電路製造(TSMC)でさえ、今年1-3月期は赤字に。
悲観一色だったIT産業界が変化してきた背景にあるのが、
まさに在庫積み増しの動き。
半導体や液晶パネルの顧客である電機業界などは、
金融危機の広がりに対応して発注を大幅に減らし、
パネルや半導体の価格も大きく下がった。
生産現場では、月4日程度の無給休暇を義務付ける動きも広がり、
失業への不安も高まった。
ここへきて海外顧客の在庫調整が一巡し、発注が回復。
TSMCやAUOが、4月から無給休暇の義務付けを取り消したのは、
操業率が回復している実態を示している。
期待が高まっているのが中国需要。
中国は、農村部の消費拡大を狙って家電製品やパソコンを購入する際に
政府が補助金を出す政策を打ち出している。
3月からはパソコンにも対象を拡大、中国需要を取り込んで
難局を打開しようというわけ。
液晶パネルや半導体も価格は依然として低水準にあり、
本格反発には至っていない。
顧客からの発注も、1、2カ月先までの「時限発注」が多く、
その後は状況を見極めてからというのがほとんど。
半年以上先までの発注が普通だった昨年秋までとは異なる。
米国の自動車メーカー破綻などがぼっ発すれば、
世界景気がもう一段悪化する可能性も残っている。
少し明るさを取り戻しつつある台湾のIT産業が本格回復に向かうのかどうか。
今後の動きをもう少し見極める必要。
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/ittrend/itt090408.html
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