(読売 7月11日)
子どもが地域に目を向けるよう、学校が橋渡し役を務めている。
琉球大学教育学部付属中学校で、
3年生21人が、机いっぱいに広げた模造紙に向かっていた。
指導役の大学生が、「自分で調べて気づいたことを書き出してみよう」
と指示を出す。選択社会科の授業の風景。
毎年、自分たちでテーマを決め、大学生の指導を受けながら調べ、
改善策を作って市役所などに提案。
今年のテーマは、「モノレールの延伸と国道の渋滞緩和」
中学生たちは、モノレールの終着駅周辺の状況や、
沿線の国道が渋滞している様子を観察。
大学生は、同大の島袋純教授(48)のゼミ生たち。
授業を始めたのは、島袋教授がある研修会で、
「20歳になったから、いきなり判断しろと言われても、
投票なんか行けない」と言われたことがきっかけ。
社会科の教科書を調べると、政治の仕組みは分かっても、
政治的な判断力や行動力に発展する内容ではなかった。
中学生にも分かるように、「政治」を身近な「地域づくり」にとらえ直し、
授業を始めたのが2005年4月。
06年3月、授業を基に中学生の社会科の副読本を作り、
県内すべての中学校に配布。
副読本の中では、改善策を選挙の立候補者に政策提言したり、
議会に誓願や陳情を行ったりする方法を記述。
授業は、中学生が興味を持たなければ成り立たない。
昨年は、米国人と沖縄の女性との間に生まれた「アメラジアン」と
呼ばれる子どもの教育をテーマにしたが、
問題を提起するところまで議論が深まらなかった。
島袋教授は、「失敗を繰り返しながら、授業も生徒も成長していく」と前向き。
広島県竹原市の中心部。江戸時代の町並みを残す一角に、
国立広島商船高等専門学校の生徒が毎週日曜日に開く
喫茶店「Cozy Cafe」がある。
担当する岐美宗(みちよしつかさ)教授(47)が、
空き家となった民家を借りて、喫茶店を始めたのは05年5月。
授業で学んだ在庫管理など、経営を実践する場としてはもちろんだが、
地域の人が生徒を育てる環境を作ることも狙っていた。
「街づくりは人づくりである」(岐美教授)という信念。
毎年、地元の観光ガイドボランティアや街おこしの活動をしている
団体などと協力、街おこしにつながる活動をしてきた。
昨年から、地元に江戸時代から伝わる料理「魚飯」を普及させようと、
市内で魚飯を出す店を紹介するパンフレットを作った。
「最初は、地元の知らない人たちに緊張したけど、
今は親近感がわくようになった」と高専3年の柳井智里さん(17)。
周囲にすっかり溶け込んでいるようだ。
地域の人と一つの課題に挑戦することは、
市民としての意識を高めるための何よりの訓練になる。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090711-OYT8T00264.htm
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