(東海新報 7月19日)
株主総会における新取締役選任を巡り、混迷が続く大船渡魚市場。
筆頭株主である市の臨時総会開催請求を受け、臨時株主総会を開催、
市側と現経営陣の認識の隔たりが埋まる様相はみえない。
市の基幹産業の拠点である魚市場を巡る問題とあって、
事態の行方に市民や水産関係者の関心も高まっている。
魚市場では、先月12日に通常総会を開催。
任期満了に伴い、経営陣から新取締役案が提出。
この案は、事前の役員会で意見がまとまったとして提出、
一部取締役や出席した株主が異議を唱えた。
16日、総会で示した新取締役(当初案の13人から1人辞退)による
役員会を開き、互選により鎌田和昭社長の再任も決まったとして、
総会決定事項の報告として各株主に通知。
これに納得しない市は、会社法に基づき、早期に臨時総会を求める
請求書を、魚市場取締役らに郵送。
市側は、新取締役人事案は役員会で承認を得られておらず、
新取締役の選任は総会での承認を得られていないとの見解。
臨時総会の開催は決まったが、案内文書の決議に
「取締役選任の承認確認」とあり、すでに役員が決まったとの認識が
記されているとして修正も求めている。
市側がこうした動きを見せる背景の一つは、
各漁協組合長を務める魚市場取締役から受け取った要望書の存在。
要望書では、現経営体制における取締役の経営倫理などを問題視し、
「透明性、公平性を確保するため、人事の一新の断行を」
と望んでいるほか、現在の代表取締役再選にも懸念。
透明性や公平性の指摘は、今年4月まで水崖会社社長で、
現在も代表権を持つ魚を「買う側」が、
「光る側」の魚市場社長を務めている現状を問題視。
水産関係者の中には、「所有する漁船の水揚げに関して、
売る側と買う側が同じという不透明な部分があるのではないか」
市が誘致を進める気仙沼市の大手水産加工会社について、
鎌田社長は当初、反対意見を展開。
最終的に賛成したが、同社長が水産会社経営の立場で、
大手参入による入札激化を懸念したとみられた。
鎌田社長が再任された場合、新規参入であるこの大手加工会社の
買参権(購入する権利)を推薦しないのでは、といった憶測。
魚市場買い受け人の一人は、
「鎌田社長に反対姿勢があったのは確かだが、
市から誘致企業について我々地元業者に説明会を開いてほしかった。
市の発展のためには、企業誘致はやむを得ないが、
鎌田氏が我々の思いを代弁している側面もある」
鎌田社長らは、総会での取締役案は拍手によって承認されたとの認識。
定時総会の開催前、取締役会でない場で市関係者も加わった形で
役員人事協議が進められた動きを問題視し、
「私を辞めさせようとしている」と不信感。
現在の鎌田代表取締役は、2年前に就任。
昨年度水揚げ実績は、数量6万7853トン、金額79億6996万円、
開設以来2番目の好業績。
各漁協などが運営する定置網の好実績に加え、
サンマやカツオも前年を上回る実績。
2年間の運営に紀室輝雄副市長は、「評価はおのおのとは思うが、
会社であるからには、取締役等が十分な議論をしてやっていくのが筋。
そうでない部分が見受けられる」
24日の臨時総会を控え、役員間で新取締役案を十分審議するよう求め、
臨時総会の場でも、本来の議決法に沿った形で
株の割合による採決を望んでいる。
魚市場で水揚げする漁船団の中には、
「歴代の魚市場社長で、我々が入港しても声をかけてくれた人は
皆無だったが、(鎌田社長は)生産者の立場を熟知し、
我々の話にも真摯に耳を傾ける。
続投が叶わないなら、受入態勢に大きな懸念を持たざるを得ない」、
再任を要望する動きも。
これから盛漁期を迎え、施設改築も控える大船渡魚市場。
役員問題のあおりで、同市漁協組合長の任期途中交代という事態まで発生、
現状では市側と現経営陣の主張は平行線。
24日の臨時総会でどう決着するか、不透明な情勢が続いている。
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