2009年7月20日月曜日

うつ病、血液検査で診断 白血球の遺伝子反応に着目

(朝日 2009年7月11日)

血液検査で、うつ病かどうかを診断する方法を、
厚生労働省の研究班(主任研究者・大森哲郎徳島大教授)が開発。

うつ病患者と健常者で、白血球の遺伝子の反応が
微妙に異なることを利用。数年後の実用化を目指す。
問診と併せて、数値化できる簡便な診断法が使えれば、
患者の見逃しが減ると期待。

研究班は、白血球の遺伝子がストレスで変化することに着目、
それをうつ病の診断に使えないか調べた。

約3万個の遺伝子の中から、神経伝達や免疫などに関連する
24の遺伝子が、うつ病患者と健常者で
異なる働き方をすることを突き止めた。

医師の面接によって、うつ病と診断された17~76歳の患者46人と
健常者122人を分析した結果、うつ病患者の83%(38人)、
健常者の92%(112人)で、特定の遺伝子が突き止めた通りに反応、
正しく判定できた。

治療薬による影響で、遺伝子が反応する可能性を除くため、
うつ病の患者はまだ治療していない人を対象。

2年間、対象を増やして診断し、実用化できる精度か確かめる。
うつ病以外の精神科の病気と、見分けることができるかも調べる。
実用化されれば、患者の血液2.5ミリリットルを処理した液を、
遺伝子チップという分析器具で反応させて、診断できる。

厚労省の調査で、うつ病など気分障害と診断された人は、
05年で92万4千人。6年で倍以上に急増。
うつ病は、医師が患者と面接し、症状から診断。
うつ病と他の病気との境目があいまいな例も多く、
専門医でも診断に迷うことが少なくない。

大森教授は、「血液検査による診断法が実用化されても、
医師の面接による診断は必要。
血液検査が実用化、普及すれば、一般の医師が診察する際に、
これまで見過ごされてきた患者を、治療に結びつける」

◆国立精神・神経センターの樋口輝彦総長(気分障害薬理生理学)

今回の診断法が、高い確率でうつ病を見分けられれば、
診断の手法として有効な方法といえるのでは。
可能性は十分にある。
今後、白血球の遺伝子の変化と、うつ病の原因とされる脳内の変化との
関係がわかれば、うつ病の原因究明にもつながる。

http://www.asahi.com/science/update/0710/OSK200907100164.html

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