2008年6月12日木曜日

地球と暮らす:/49 海をつくる会 アマモ再生の活動実る

(毎日 6月2日)

海底にたまるヘドロ、ビンや缶などのごみの層--
80年代の初め、横浜市・山下公園の海は、こんなありさま。
海の清掃に取り組んだダイバー仲間が結成したのが、「海をつくる会」。

海に潜りごみを取り除く作業を続けると、体にヘドロのにおいがついた。
10年間、地道な作業を続け、東京湾の浄化も進み、
海は次第に活気を取り戻してきた。

90年、横浜市金沢区の「野島海岸」を新たな活動の場所に選んだ。
海岸の生き物を調査してきた研究者がメンバーに加わったのがきっかけ。
野島海岸は同市で唯一、自然の海岸線や干潟が残る。
潜ってみると、スズキやカレイなど東京湾に生息する魚の多くを確認。

生物観察を続けていた時、地元の漁師からこんな話を聞いた。
「この辺りには昔、『アマモ』がいっぱい生えていて、
手を突っ込んだらカレイやアオリイカが捕れた」。
「昔の海に戻してほしい」。

アマモ」は、帯のような長い葉を持ち浅い海に群生する海草で、
魚が産卵したり、稚魚の隠れ場所になることから「海のゆりかご」。
漁師の言葉をヒントに、野島海岸に
アマモを復活させるプロジェクトが始まった。

自然のアマモが群生する神奈川県横須賀市の走水海岸から
アマモの種を採取し、県水産技術センターの協力で苗に育てた。
00年の冬、野島海岸にアマモを初めて移植。
03年には大規模な赤潮が発生し、植えたアマモが全滅したが、
移植を続けた結果、海底の全面にアマモが生い茂るまでに。

アマモが復活した海には、さまざまな「新顔」の生物が姿をみせる。
ホウボウの稚魚やカスベというエイの仲間、タツノオトシゴ--
最近はアオリイカの産卵も確認。
事務局長の坂本昭夫さん(51)は、「漁師の人たちから
『魚が増えたよ』と声をかけられると喜びを感じる」。

野島海岸で一定の成果が得られた今、
横浜市の河川の河口部にも、アマモを植える取り組みを始めた。
坂本さんは、「今やれることから、海の再生を目指していきたい」。
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◇海をつくる会

約90人の会員のうち、9割がダイバー。
海ばかりでなく、芦ノ湖などの水底の清掃を行ったり、
イベント会場で海の生き物を展示、紹介する活動。
http://umikai.sakura.ne.jp/

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/06/02/20080602ddm016040024000c.html

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