2008年6月9日月曜日

スポーツ21世紀:新しい波/269 バレー協会・個人登録制度/4

(毎日 5月31日)

日本バレーボール協会(JVA)の個人登録制度が
反発を呼ぶ原因の一つが、デジタル化による選手管理
従来はチームごとに一括して、登録選手のリストを規定の紙に記入して
提出したが、新制度ではインターネットを通じ、個人単位で氏名などを入力。

デジタル化について、JVAの山岸紀郎専務理事は例を挙げて説明。
「ひどい話だが、かつてはA中学の出場登録メンバーに
B中学の生徒がいた--なんてことさえあった」。

紙に選手の氏名を列挙するだけの従来の制度では、
大会本部が出場選手が登録された本人かどうか、確認が難しかった。
「デジタル管理すれば、大会本部が出場選手を登録カードと照合する
などして正確に把握でき、不正を排除できる」。

個人登録制度の導入に伴い、JVAは
「未登録者の公式戦出場は、絶対に認めない」との姿勢。
過渡期だった昨年度は緩やかに運用されたが、今年度からは、
未登録者はJVA主催の全国大会へつながる公式戦に一切出場できない。
すでに今春の全国高校選抜優勝大会の千葉県予選では、
ある学校の主力選手が登録を忘れたため、出場が認められなかった。

東京・筑波大付高の女子バレーボール部を指導する藤生栄一郎教諭は
「教育の立場から見て、問題が多い」
と指摘。

最後の思い出作りに、未登録のバスケット部員2人を加えて、
大会にエントリーしてきた--藤生教諭が挙げた例。
「恐らく1回戦負け。でも、エントリーしてきた心情は分かる」。
現場の温情で大目に見てきた「不正」。
しかし、デジタル化によって、その余地はなくなる。

「彼らを『未登録だ』とはね付けるのが、教育か。
JVAは、選手からスポーツをする権利を奪えるのか」と
首をかしげる藤生教諭。
有志らと「個人登録に反対する草の根バレーの会」をつくり、
活動を繰り広げている。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

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