2008年6月14日土曜日

肥満と過体重の十代は慢性疾患のリスクが高い

(Medscape 6月2日)

肥満または過体重の十代は、2型糖尿病、心血管疾患、
脂肪肝疾患など慢性疾患のリスクが高いという
オーストラリアの横断研究の結果が、
『Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine』6月号に発表。

Elizabeth Denney-Wilson(シドニー大学)らは、
「肥満の小児と思春期小児は、心血管疾患、2型糖尿病、
脂肪肝疾患の代謝性リスク因子の保有率が高い
ことが、
複数の研究で示されている」。

「肥満保有率に並行して、有病率も増大すると予測されるが、
十代の一般集団における慢性疾患リスク因子については
ほとんど分かっていなかった。
同時罹患疾患に関する最近の研究のほとんどは、
重度の肥満を有する十代の、臨床現場で構成された集団を対象にした
ものばかりであり、代謝性合併症の全体については研究されていない。」

今回の研究の目的は、肥満症の指数(肥満指数[BMI]と腹囲)と、
心疾患、2型糖尿病、脂肪肝疾患のリスク因子との関連性、
思春期中期におけるリスク因子の集積を評価すること。

シドニーの中等学校の第10学年の小児496例を、
国際肥満専門部会(International Obesity Task Force)の
カットオフ値と英国腹囲カットオフ値に基づいて、
過体重または肥満に分類。
平均年齢は15.4 ± 0.4歳、男児が58.4%。

高比重(HDL)・低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール、トリグリセリド、
インスリン、血糖、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、
γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、
高感度C反応性蛋白(CRP)値を調べた。

これらの結果は、ガイドラインに従って正常と異常に分類。
ロジスティック回帰分析を使って、
過体重・肥満とリスク因子との関連性、個人内のリスク因子の集積を判定。

思春期男児において、過体重・肥満の有意に連関していた因子は、
インスリン、ALT、GGT、HDLコレステロール、高感度CRP、血圧であった。
思春期女児において、過体重・肥満と有意に連関していた因子は、
インスリン、HDLコレステロール、高感度CRPであった。

十代の肥満の男児・女児は、過体重でない十代男児・小児に比べ、
2つ以上のリスク因子を有している傾向が有意に強かった
(男児:73.5%対7.6%、女児:44.4%対5.4%)。
「過体重と肥満は、特に男児において、慢性疾患になるリスクが大きい。
腹囲は、代謝性リスク因子の予測因子として、BMIほど優れていない。」

この研究の限界として、心血管疾患の家族歴のデータがないことと
飲酒やその他の薬物使用の報告がないこと。
「脂肪症の傾向、生活習慣、リスク因子を思春期から成人まで追跡すれば、
現在の若年者が成人に達した時には、肥満関連の病態による疾患で
医療システムにかかってくる負担がさらに大きくなると予測ができる」

Arch Pediatr Adolesc Med. 2008;162:566-573.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=74532

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