2008年6月8日日曜日

エネルギー消費、調節メカニズムを解明 メタボ対策薬、開発に可能性

(毎日新聞社 2008年6月1日)

食事で摂取したエネルギーを消費する骨格筋が、
消費量を調節する仕組みを、永井良三・東京大教授(循環器内科)らが
マウスの実験で発見。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防や改善などに
つながる可能性がある。

研究チームは、動脈硬化などを起こすたんぱく質「KLF5」の量を
半減させた遺伝子改変マウスを作成。
このマウスは、エサを大量に食べても脂肪細胞が大きくならず、
太りにくい性質を持つことが分かった。

KLF5半減マウスの骨格筋を調べたところ、
脂肪の燃焼を促す遺伝子のうち、少なくとも5種類の働きが
正常マウスに比べ、約1・5~2倍活発。

KLF5の働きを分子レベルで調べると、
KLF5は「SUMO」と呼ばれる分子と結合した場合、
脂肪の燃焼を促す遺伝子の発現を抑制。
SUMOと分離すると、脂肪燃焼遺伝子を増やす指令を出していた。

KLF5半減マウスでは、SUMOと結合したKLF5の働きが減るため、
エネルギー消費が増加して太りにくくなる。

米国で臨床試験が進むメタボ改善薬の一つは、
この研究の成果から、KLF5とSUMOを分離することで、
エネルギー消費を増やしていることが示された。

永井教授は、「エネルギー代謝を低下させる原因と、
生活習慣に起因することが多い動脈硬化や心血管疾患の原因には
分子レベルで共通点があった。
今回解明した仕組みを利用して、太りにくく、心血管疾患を予防する
薬の開発も可能になるだろう」。
「ネイチャー・メディシン」電子版に掲載。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=74091

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