(毎日 3月16日)
東京電力が排出するCO2は、国内全体の1割を占める。
CO2削減に貢献するとされる柏崎刈羽原子力発電所が運転停止し、
厳しい状況が続く中、同社は需要者側に力点を置いた
温暖化対策を進めていく。
「低炭素社会」実現に向けた東電の戦略を、清水正孝社長に聞いた。
--温暖化対策にどう取り組むか。
◆日本には、エネルギー資源が乏しいという弱み。
それを克服しながら、低炭素社会を実現するためには、
エネルギーの安定供給と環境保全、経済性の向上を同時に図ること。
エネルギーの供給・需要両面にわたり、
長期的な視点から対策を立てていく必要。
供給面として、当社の電源構成の中で、原子力や、水力といった
再生可能なエネルギーの比率を高め、
需要面では、家庭などで使ってもらうエネルギーを低炭素型に
誘導していくことが、これからの戦略。
--柏崎刈羽原発の停止の影響は大きい。
◆停止に伴う発電量の不足分を火力発電で補っているため、
CO2排出量の増加は年3000万トン程度と試算。
例年の総排出量の3割程度に相当する量。
一日も早く復旧し、稼働に向けて努力するというのが一番大きな経営課題。
--需要面ではどんな戦略があるか。
◆キーワードは「電化」
一般家庭での「オール電化」戦略に取り組んでいるが、
今後は産業、業務分野でも攻めの営業に。
産業分野をみると、工場など大量の熱を必要とするところでは、蒸気を多用。
「蒸気」に着目し、空気中の熱を効率よく集めるヒートポンプや
IH(電磁誘導加熱)といった高効率な電化技術を導入することで、
「蒸気レス」を目指したい。
この取り組みは、CO2削減効果のほか、生産技術の高度化で、
日本の製造業の競争力向上にも貢献できる。
業務分野は、日本のCO2総排出量の約3割を占め、早急な対策が必要。
燃焼式に比べ、加熱効率が高い電化厨房を
外食チェーンなどの業界で広げている。
--経済産業省が、太陽光発電による余剰電力を電力会社が買い取る
「固定価格買い取り制度」の導入を発表。
◆政府の地球温暖化対策の重要なメニューの一つとして、
積極的に協力する考え。
現実的に、電力会社の負担増加分は電気料金に上乗せされる方針なので、
国の施策として国民に十分説明し、理解を得なければ進まない。
制度を具体化する際、我々の意見も十分織り込んでいく。
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◇しみず・まさたか
慶応大経卒、68年東京電力入社。取締役資材部長、常務、副社長を経て、
08年6月から現職。同年5月から日本経団連副会長。
神奈川県出身、64歳。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/03/16/20090316ddm008020023000c.html
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