2009年3月24日火曜日

グーグルとGE 対極の人材確保術

(日経 2009-03-16)

◆世界各地から年77万人の履歴書

世界的な人材争奪戦が激しさを増す中、
優良企業はどのように人材を確保しているのか?
「人的資本」の充実に向けて、それぞれの手法に磨きをかける
グローバル企業の姿が浮かび上がってきた。

インターネット検索サービス最大手の米グーグル。
米フォーチュン誌によると、同社に届く採用希望の履歴書は、
年間77万7000人分に上る。
「世界中から頭のいい人を発掘。
ただ、家庭の事情などで米本社に来たくない人もいる。
我々は、世界各地にオフィスを設けて人材確保に努めている」

グーグル日本法人の徳生健太郎・製品開発企画本部長(40)。
世界的規模で人材獲得に乗り出すグローバル企業の狙いは、
「多様性」や「異質性」にある。

米半導体大手のクアルコムも、多様なアイデアを吸い上げるため、
毎年38カ国から750人の研修生(インターン)を受け入れ。

◆年間1000億円投じ人材育成

グーグルが「外」から新しい才能を次々と招き入れる代表格なら、
「内」に抱える人材を徹底的に鍛えて強さを維持してきたのが
米ゼネラル・エレクトリック(GE)。

年間の研修費用は、約1000億円。
米ビジネスウィーク誌によると、新人1人当たり約300万円(2007年)の
教育費をかける。

ニューヨーク州ハドソン川上流の町クロットンビル。
シカが寝そべる広大な敷地に建つ、
ジャック・ウェルチ・リーダーシップ開発研究所はGEの人材研修の総本山。
幹部候補が、定期的に1-3週間の合宿にのぞむ。
ジェフリー・イメルト最高経営責任者(CEO、52)も月に1度は顔を出し、
「帝王学」を伝授。

施設には、研修参加者にドリンクを無料提供するバー「ホワイトハウス」がある。
夕方になると、研修生らがビールを片手に議論し、交流を深める。
社員が経営陣と言葉を交わす貴重な場。

「突っ立っていないで、イメルトに話しかけてこい」
クロットンビルの研修に参加した元GE中堅幹部で、
今はベンチャー企業役員の花城真之氏(37)は、
先輩社員にこう背中を押されたことを覚えている。
好奇心、情熱、責任、チームワーク、工夫----
研修で教えるのはこれらGEイズム。

◆業績悪化に対応、教育システム改革

「人材は面白い経営資源」
日本GEの八木洋介取締役シニアHR(人的資源)マネジャーは、
社員のやる気次第で、アウトプット(生産高)が強烈に違ってくる。
やる気のある人とない人の差は、5-10%程度の話ではない。
何倍もの開きが出る」
GEが年間1000億円も人的資本に投資するのは、
それに見合うだけのリターンがある。

景気悪化の荒波はGEも直撃。
2月下旬、GEは世界大恐慌後の1938年以来、約70年ぶりの減配を発表。
「我が社の弱点は何か?」
研修体制も俎上に上り、最も業務成績の良い社員150人を分析、
問題点を洗い出した。
浮かび上がったのは、「想像力」の欠如。

分析結果を受け、クロットンビルの研修を、
個人重視からチーム重視に切り替えた。
これまでは、各部の最も優秀な人を集めて研修していたが、
各部署のチームを丸ごと集め、ブレーンストーミングさせる手法に転換。

人材の世界最適調達を続けるグーグル。
伝統の教育システムを改革し続けるGE。
手法は違っても、人的資本の強みを最大限に引き出そうという意識は共通。

http://netplus.nikkei.co.jp/nikkei/news/world/world_2nd/wor090316.html

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