2009年6月10日水曜日

タイコムのカセムセット会長「衛星ブロードバンド、日本で年内1万回線」

(日経 5月20日)

都市と地方のデジタルデバイド(情報格差)を解消する手段として、
通信衛星を利用したブロードバンド(高速大容量)通信サービスが浮上。

タイ通信大手タイコムの子会社であるIPSTAR(渋谷)は、
離島や山間部などの市町村向けに、
日本国内で4月から商用サービスを開始。
タイコムのダムロン・カセムセット会長に、
日本における戦略や、海外での展開状況などを聞いた。

−−4月に開始したサービスの特徴は?

「家庭にモデムとアンテナを設置し、衛星経由で当社の設備から
インターネットに接続する。
通信料金は、受信が最大毎秒512キロビットの場合で月額3500円、
同1メガ(メガは100万)ビットの場合で月額4500円、
同2メガビットの場合で月額1万円。
初期費用は、モデムやアンテナなどの一式で30万円。
ほかの固定ブロードバンド通信サービスに比べ、
戦略的な料金を設定したつもり」

−−30万円の初期費用は高くないか?

「一般家庭には負担が重く、地方自治体などの補助金抜きで
普及させるのは難しい。
デジタルデバイドの解消という観点で考えれば、決して高くない。
山間部や離島などに有線の固定回線を整備するのに比べれば、
総費用は大幅に少ない。
衛星の場合、各家庭にピンポイントで電波を届けられるので、
ユーザーが少ない地域になればなるほど有利」

「実際に体験してもらうため、全国の都道府県を対象に
サービスを1年間無償で提供。
希望する都道府県に、モデムとアンテナを最大1セットまで貸し出すので、
デジタルデバイド解消を検討している市町村は、
これを使って検証してほしい」

−−日本市場をどうみている?

「日本の政府(総務省)は、2010年度末までに
ブロードバンド・ゼロ地域の解消という意欲的な目標。
全国約1.7%の地域の80万世帯で、
ブロードバンドを利用できない状況。
この達成に、我々のサービスは必ず役に立つ。
日本市場について楽観視している。
コアテック(札幌市)やシーオーテック(広島市)などの
パートナーを通じて販売、2009年中に1万回線を獲得したい

−−日本以外の国での展開状況は?

「タイやベトナムをはじめ、カンボジア、中国、オーストラリア、
ニュージーランドなどの10カ国でサービスを展開、
2010年までに14カ国に広げる予定。
現在の回線数は、約17万回線。
回線を複数のユーザーで共有するので、
実際のユーザー数に換算すればこの3−4倍の規模。
衛星ブロードバンド事業単体ではまだ赤字だが、
25万回線を超えれば黒字化できる」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090519.html

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