(日経 5月27日)
今年で5年目を迎え、定着した感のある夏の軽装「クールビズ」。
商品の種類も、当初とは比べものにならないほど豊富。
今年は、単にネクタイを外すだけではなく、
ジャケットも含めたコーディネートに挑戦してみては?
今年のクールビズの傾向と対策をまとめた。
東京・新宿の伊勢丹メンズ館。
売り場には、約80種類のシャツが所狭しと並ぶ。
商品点数は昨年より2—3割増えた。
白やネイビーといった定番に、ラベンダーやピンクなども
品ぞろえが増え、色のバリエーションも豊富。
紳士営業部バイヤーの五十嵐賢さんは、
「自由度の高い服装への心理的壁が低くなった」
シャツの柄も多様に。
細いストライプだけでなく、「太いストライプや格子柄も試してほしい」
デザインでは、第二ボタン付近に補助的なスナップボタンを
付けるのが今年のトレンド。
第二ボタンまで外しても、スナップボタンを使えば
襟元が大きくはだけることはない。
えりと布地の色が異なる「クレリックシャツ」や、
前襟が高い「ドゥエボットーニ」も昨年に続いて、
今年も人気を集めている。
クールビズの基本はノーネクタイ。
営業では、ネクタイ着用が欠かせない場合も。
ニットタイがおすすめ。
今年は、ニットでも剣先のあるデザインが多く、
フォーマルな場でも違和感を与えずに済む。
シルクやコットンをメッシュ状に織り上げた「フレスコ」の素材であれば、
清涼感がより高まる。
「ひし柄」や「ボーダー」など、柄も多彩になっており、選びがいがある。
上級者向けに、「ネップ」と呼ばれる糸むらをつけたタイプも。
上着は、生地の枚数を減らした「アンコンストラクテッド(アンコン)」と
呼ばれるタイプが着心地がいい。
通常、ジャケットは立体感を出すため、表地と裏地のほか、
芯地と呼ばれる中間生地やパットを多層的に組み合わせる。
通気性を高めようと、生地の枚数を減らすとシルエットが崩れるため、
アンコンジャケットはビジネスシーンには向かないといわれていた。
近年は、新素材の開発や縫製技術の進歩で、
形崩れしにくいタイプも店頭に並び始めている。
フリーの雑誌編集者、池田保行さんは
「アンコンジャケットを選ぶ際、肩と胸に注目してほしい」
試着時、肩の部分が丸く盛り上がり、胸にもしっかり曲線のラインが
出るようなら問題はない。
シャツ同様、パンツも今年は淡い水色やラベンダーなど
鮮やかな色合いのものが店頭をにぎわしている。
レザーやシルク地の編み込み型のメッシュベルトを合わせれば、
一層清涼感が増す。
外羽根が大きく、先端が丸い靴をはけば、
「ビジネスだけでなく、休日でも着用できる」
クールビズは、男性の専売特許ではない。
インターネット上の女性向けファッション誌「デジタルef」の
高橋祥子編集長は、女性版クールビズのポイントに、
「機能性と周囲との調和」をあげる。
特に避けたいのは、過度の露出。
肩や胸元が見えるノースリーブは、基本的にはNG。
ミュールやサンダルなど、素足に直接履く靴もさけた方が無難。
今年の流行は「ロングシャツ」
襟付きで、すその長さはおしりが隠れるくらい。
アンダーの上に羽織るようにして着て、サッシュベルトなどと
組み合わせれば、着回しのバリエーションも広がる。
40歳前後の「アラフォー」のビジネスウーマンにとって、
腰回りのラインを隠せる点も評価が高い。
パンツは、ポケットやポケットの周辺がゆったりとした
「サルエルパンツ」が着心地がよい。
胸元には、顔色の映えるシルバーなどのアクセサリーを
あしらってみてもよい。
監査法人のグループ会社に勤める岩尾康史さん(44)は、
今年のクールビズで、明るいグレーにストライプが入ったジャケットに、
爽快感のある薄レモン色のシャツを組み合わせる。
クールビズの定着で、ある程度の冒険も許容される。
「個性をアピールして、顧客への印象を強めたい」
リース会社に勤める山本勤さん(仮名、36)は、
「売り場に並ぶ商品は先端的すぎる」
同僚の間でも、シャツは水色やベージュなど淡い色合いのものが
主流になっており、「柄物では職場で浮いてしまう」
シャツやジャケットは、紳士服量販店の既製品で間に合わせ、
ポケットチーフやベルトといった小物でアクセントをつける。
服装は、自己演出の手段でもあり、周囲とのコミュニケーションを
円滑にする役割も果たす。
個性のアピールと職場の雰囲気の両面を考えたうえで、
最適なファッションを選びたい。
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090527.html
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