2009年6月12日金曜日

岩崎電気の熊坂社長「官需依存の社内意識を変える」

(日経 6月4日)

特殊照明器大手の岩崎電気が、世界的な景気後退に苦しんでいる。
公共投資の減少が続くなか、道路照明を中心とする
「官需」頼みの脱却をめざし、「民需」強化をはかっていただけに
ショックは大きい。
2009年3月期は営業赤字に転落、「今年は我慢の年になる」と語る
熊坂隆雄社長に、今後の取り組みを聞いた。

——世界的な景気後退で鮮明になった岩崎電気の弱みは?

社内に根強く残る『官頼み』の風潮。
照明事業の6割を、道路照明などの官需が占める。
強い“地盤”があるのは確かだが、昔のように公共投資を
バンバンやる時代はもう来ない。
社内には、『役所に行っていれば大丈夫』という意識が根強い。
まずはこれを払拭しなければならない」

——収益改善に向けた具体策は?

「今、不採算事業を洗い出せと社内に号令をかけている。
手を引くなり、採算がとれるように、
コスト構造を変える策を講じなければいけない。
商品も多すぎる。半分くらいに絞り込んでもいい」

「国内の照明市場はもう伸びない。
東芝やパナソニックといった大手が強い分野では戦わない。
岩崎が得意とする高輝度放電(HID)ランプの市場規模は、
器具まで入れて1000億円程度。
大企業が手をつけないニッチな市場をしっかり押さえる。
それが岩崎の戦略だ」

——成長のけん引役と位置付けるのは?

「規模は小さいが(光源技術を照明以外の装置に応用する)、
『光応用』分野を強化する。
例えば、太陽電池の性能を光で検査する装置や半導体に
光で刺激を与える装置などをもっと伸ばしていく」

「これらの分野は市場規模も大きくないため、
『競争価格』ではなく、『効用価格』で商売ができている。
特注が多く、原価率も高いが、我が社の技術蓄積を進めれば
コストを下げられる」

——照明業界では発光ダイオード(LED)照明への投資が活発。

「官公庁も、買い手側が情緒的に『LED、LED』と言っている。
注力分野ではあるが、LEDなら何でもやるというわけではない。
道路灯や投光器など、強みが生かせる屋外照明に集中する

「屋外照明への新規企業の参入は不安視していない。
公共空間の明かりには均質性や広がりなど、厳しい要求がある。
これまでHIDランプで培ってきた我が社の強みが生かせるはず」

——収益改善に向けて、自身が率先する取り組みは?

「賃金面など、今期は従業員に我慢を強いることに。
不採算事業からの撤退や拠点の再編など、
構造改革も進めなければならない。
これまで以上に、営業所や工場に出向いて従業員と話をしようと思っている」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090603.html

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