2009年6月10日水曜日

知事が北里大で出前授業 新地域主義とソフトパワー戦略説く

(東海新報 6月4日)

達増拓也知事が、県民と直接意見を交換する「移動県庁」が、
北里大学海洋生命科学部で出前授業を行い、
海洋産業の可能性について述べた。

県北・沿岸振興本部会議(本部長・宮舘壽喜副知事)では、
本年度中に「三陸沿岸海洋産業振興指針(仮称)」を策定し、
海と海洋の多彩な資源を活用し、海洋産業の振興に力を入れる。

出前授業は、学生、教授陣ら約100人が出席。
知事は、「いわて三陸の未来と若者への期待」と題して講義、

「三陸は、海と山とまちの三位一体のトリプルランドで、
無限の可能性がある」とし、県政方針に掲げる広域圏とコミュニティーに
重きを置いた新地域主義と、ソフトパワーの二大戦略について述べた。

ソフトパワーの一つに、世界遺産登録を目指す平泉文化を挙げ、
「国際政治で、オバマ米大統領もソフトパワーを使うが、
文化の力、信頼関係で進めるやり方。
平泉文化は、21世紀の世界が必要とする平和、環境の理念を、
900年前に実現したもの。
中尊寺建立時、敵味方なく人の死を悼み、動植物や魚介類も
すべての生命を大切にすることを宣言。これは世界にもないこと」、

文化の持つソフトパワーをもとに産業振興を図る考えや、
新たに三陸沿岸海洋産業振興指針を本年度策定することを明らか。
「水産資源、海洋バイオテクノロジーやエネルギー、
レクリエーションなどを総合的に海洋産業振興を図るもので、
策定に当たっては北里大の果たす役割に期待」

地方から直接世界に乗り出すことも必要と、
中国に乾ナマコ、シンガポールに県産米、マレーシアにサンマやイサダの
売り込みに力を入れていること、学生たちには
「地球規模で考え、地域で行動するグローカルポリシーが重要」

学生から、「知事が世界に売り込みたいものは?」との質問に、
「最近では乾ナマコ。中国にPRしていきたい」など、
このほか人材育成などの課題を巡って意見交換。

県北・沿岸振興本部会議は、陸前高田市のキャピタルホテルで開かれ、
田村誠、菅原一敏両県議も出席。
三陸沿岸海洋産業振興指針を、12月下旬をめどに策定。

策定の趣旨は、10年程度を見据えて県が講ずる施策を
総合的に推進するもので、海洋資源を活用した商品やビジネスの創出、
国の海洋関連プロジェクト導入などによって、新産業創出を目指す。
指針は、新しい長期計画に反映するほか、
新規施策などを来年度予算に盛り込む。

達増知事は、「岩手全体の活性化になるもので、
海に顔を向けて未来に向かって進んでいきたい」

「海洋産業の現状と今後の可能性」と題し、
(社)海洋産研究会常務理事の中原裕幸氏の講演。

同氏は、日本の200カイリ水域が世界第6位の広さであることや、
海洋産業は政府の試算で2010年には市場規模約7兆円、
雇用規模80万人と予測、
「今後の成長15分野に入っている」とし、
本県の海洋開発の方向性などについて指摘。

http://www.tohkaishimpo.com/

0 件のコメント: