(岩手日報 6月4日)
釜石市出身で、元東京慈恵医大教授の医学博士柴孝也さん(69)は、
感染症分野で優れた研究業績をたたえる
「志賀潔・秦佐八郎記念賞」に選ばれた。
新薬開発に不可欠な、薬が体の中をめぐる「体内動態」メカニズムの
長年にわたる研究が評価。
同賞は、感染症の化学療法で偉大な功績を残した
赤痢菌発見者の志賀潔、梅毒の特効薬を開発した秦佐八郎の名を
後世に伝えるとともに、同分野の進歩に貢献した医師らをたたえる目的で、
日本化学療法学会が1990年設けた。
毎年1件だけに贈られる。
柴さんは、東京慈恵医大に約40年間在籍。
投与した抗菌薬が体内をどう巡り、作用するかを解明する
「体内動態」研究に情熱を傾けた。
新薬開発において、効用をつかむ欠かせない分野で、
同学会は「とりわけ重要で優れた業績」と評価。
釜石市唐丹町で生まれ、医師として働く両親の背中を見て育った
柴さんは、同じ道を目指し、盛岡一高から東京慈恵医大に進学。
卒業後も研究室に残って研究や診療、人材育成に活躍し、
2005年3月、教授で退職。
学外では、海部俊樹首相時代に外遊の随行医を務めたほか、
衆院議員宿舎に約30年間住み、議員の健康管理を世話するなど
長年、国政を裏方で支えた異色の経歴も持つ。
協力者の同意を得て行うのが、通例の医薬の臨床試験だが、
「若いころは自分で薬を飲んで、血中濃度などを調べた。
それが当たり前の時代で、ひたすら取り組んだ」と苦労を振り返る。
今もなお、国会内の衆院医務室所長や同大客員教授を務めるなど
健在で、「名誉な賞と縁があると思わなかった。
業績を認めてもらえ、うれしい。
向こう10年間は一線で頑張りたい」と、意欲はいささかも衰えない。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090604_6
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