(毎日 5月30日)
10年間に、ポスドクが就職するまでの期間が平均6・4年と
倍近くに増え、職が見つからない若手研究者の海外流出が
加速していることが、大阪府立大の浅野雅子准教授(素粒子論)の
調査で分かった。
国が常勤職を確保しないままポスドクを増やした計画が背景に。
素粒子論分野のみの調査だが、
海外在住の研究者を含めてほぼ全数を調査した例は珍しく、
他分野でも同様の傾向。
日本の将来の科学技術発展への影響が懸念。
素粒子論研究者で作る学術団体(素粒子論サブグループ)の
98~08年度までの名簿を基に調べた。
全体の人数は700人前後で推移しているが、
ポスドクの人数は107人から193人と1・8倍に増え、
博士課程に進学する人は85人から47人に減った。
博士号取得後、ポスドクを続けている期間は98年度の平均3・4年から
08年度の平均6・4年と増加。
海外流出したポスドクは、98年度の3%弱から04年度28%、
08年度41%と急増。
03年以前の同団体の会員制度は、現在と異なるために
単純な比較はできないが、ポスドクが海外に職を求め、
昨年秋のノーベル物理学賞受賞者の南部陽一郎さんが
米国籍だったことで話題になった頭脳流出が年々増えている傾向。
特に、台湾や韓国など東アジアへの流出が目立つ。
浅野准教授は、「若者が就職難を心配し、博士課程に進んで
研究を続けなくなっている。
このままでは、日本の基礎科学は先細りしかねない」と危機感。
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◇ポスドク
ポストドクターの略。博士号取得後、常勤の職についていない研究者を指し、
多くは3~5年の任期付き研究員として働く。
政府は、第1期科学技術基本計画(96~00年度)の中で、
「ポストドクター等1万人支援計画」を実施。
現在1万6000人を超すが、
大学や研究所などの常勤の研究職は増えていない。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/05/30/20090530dde001040011000c.html
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