(日経 2009-05-25)
オバマ米大統領が、自動車の燃費規制を厳しくする時期を、
2016年に4年前倒しすると発表。
米国では、ゼネラル・モーターズ(GM)の経営問題が
月末にヤマ場を迎える。
そんな重要局面を前に、GMの重荷を増やすような決定を
下すのはなぜか?
米国では憶測を呼んでいる。
「19日までは内密に」
発表の直前、米政府は規制強化を早める決定について、
自動車各社に詳細を説明し、こう口止めしていた。
連絡を受けたある日本メーカーの担当者は、
政府関係者にこう問いただした。
「自動車業界も州政府も考え方がばらばら。
規制強化は日本車を利するだけだと反対され、
決定を後で取り下げることはないでしょうね」
政府関係者は、「大統領を信じてほしい。これで行くことになるから、
安心して承諾のサインをしてほしい」
米国の新規制は、日欧の中長期規制に追いつくためのもの。
内容自体は日本車大手にとって、それほど厳しいものではない。
問題は大型車が多く、経営問題も抱えている米国勢の反対。
規制の内容やタイミングが定まらず、設備投資や研究開発に影響が出る。
ブッシュ政権は、米自動車大手の反対に遭って、
規制強化には消極姿勢に傾き、独自の規制を導入しようとした
カリフォルニア州に中止を求める大統領命令まで出した。
オバマ政権は、どこまで本気なのか?
日本勢の疑心暗鬼には理由もあった。
オバマ政権は、リーダーシップを発揮した。
キャロル・ブラウナー・エネルギー気候変動担当補佐官は、
大統領の意向に沿って、ビッグスリー(米自動車大手3社)のほか、
全米自動車労組(UAW)のゲトルフィンガー委員長、
ミシガン州知事などの規制反対勢力に根回しを展開、同意を得た。
2週間程度の短期決着。
「そこまで急ぐ理由は何だったんでしょうねえ」
ワシントン駐在の日本車メーカー関係者では最近、こんな会話が。
オバマ大統領が急いだ理由——。
関係者の多くが挙げるのは「GM問題」。
GMは現在、債権団やUAWと借入金や医療費・年金などの削減に向け、
交渉の真っただ中。
6月1日に設定された交渉の期限中には合意が困難とされ、
連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)に基づく法的整理を
申請する可能性が高まっている。
「環境政策は政権の根幹でもあり、破綻前に規制前倒しを決めないと、
導入のめどはもうなくなる。
米政府は、法的整理を前提に動き出した」
ビッグスリーには今回、政府からこんな打診もあったとされる。
「(破産法11条の下での)再建期間中は、CO2排出量の“前借り”などを
認めてもいい。弾力的に運用するから、規制に同意してほしい」
来月早々に向け、GM周辺ではどんな動きが進んでいるのか?
規制前倒しの1件からも慌ただしさは伝わってくる。
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan090522.html
0 件のコメント:
コメントを投稿