2009年6月7日日曜日

インタビュー・環境戦略を語る:新日本石油・西尾進路社長

(毎日 6月1日)

2度の石油ショックの経験から、
「脱石油社会」への転換を進めてきた日本。
エネルギーの石油依存度は4割以上あり、
石炭や水力、原子力を上回る最大のエネルギー源である。
地球温暖化問題に対する関心の高まりによって、
「脱石油」を求める声がますます強まる中、
石油元売り最大手のトップとして環境対策にどう取り組むのか。
西尾進路社長に聞いた。

--石油依存の社会からの転換が叫ばれている。

◆海外の資源に頼る日本は、石油はもちろん、石炭、LNG、原子力と、
何かひとつだけに頼るわけにはいかない。
石油依存度を2030年に4割以下にする国の長期目標、
30%以上は石油に頼らないといけない。
3つのE(環境=Environment、経済性=Economy、
効率性=Efficiency)を、うまくミックスしていかなければいけない。

--家庭用燃料電池「エネファーム」や太陽電池といった
新エネ関連事業を強化。

◆燃料電池は、技術的にブレークスルーが起きれば究極のエネルギーに。
当社は実証段階で、日本全体の4割に当たる1368台のエネファームを
設置しているトップランナー。
コストが高いのが難点だが、15年には50万円で売れるようにして
採算に乗せたい。
太陽電池は、三洋電機の「HIT」の販売を4月から始めた。
三洋とは、薄膜太陽電池でも共同出資会社を作って販路を調査。
有機系太陽電池の研究も、東京大学先端科学技術研究センターと提携。

--昨年6月発足の「わが家で創エネ」プロジェクトとは?

HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)を使った、
究極的にCO2の排出をゼロにしようという計画。
お父さんは風呂、お母さんは炊事に使う場合など、
その時々に応じて太陽光発電がいいか、
太陽光と燃料電池を併せた発電がいいか、最適方法を判断するシステム。
横浜に創エネハウスを作り、社員を住ませて実験中だが、
見学者をさばききれないほどの人気。

--ガソリン代替燃料としてバイオ燃料が注目。

◆日本では大量生産できないので、ブラジルから船で
CO2をまき散らしながら持ってくる。
サトウキビをトラクターで刈り、工場にトラックで運び、
工場でもCO2を排出する。
温暖化問題上とんでもない話。
世界で10億人が飢餓に苦しむ中、
食糧をエネルギーに変えていいのかという問題。
食糧と競合しないセルロース系のバイオエタノールの研究を、
トヨタ自動車や三菱重工など5社とともに進めている。
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◇にしお・しんじ

慶応大経済学部卒。64年、日本石油(現新日本石油)入社。
95年取締役経理部長、00年常務、02年副社長を経て、
05年6月から社長。東京都出身。68歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/06/01/20090601ddm008020018000c.html

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