2009年6月19日金曜日

筋肉難病の改善に犬で成功 化合物で遺伝子に「ふた」

(2009年6月8日 共同通信社)

筋肉の力が徐々に失われる難病、筋ジストロフィー(筋ジス)と同症状を、
一部の遺伝子の働きを妨げる手法を使って改善することに、
国立精神・神経センターなど日米のチームが犬の実験で成功、
米神経学会誌に発表。

筋肉の種類による効果のばらつきなどを改良する必要があるが、
安全性は高く、チームは「将来、多くの患者への応用が期待できる」

筋ジスの中で最も多い「デュシェンヌ型」を再現したビーグル犬で実験。
デュシェンヌ型は、筋肉細胞の形を保つ「ジストロフィン」という
タンパク質の合成が、遺伝子変異によって途中で止まってしまうため、
筋力の低下や萎縮が起きる。

「モルフォリノ」という化合物を注射することで、
変異した遺伝子とその周辺の遺伝子が働かないように
「ふた」をする手法を開発。
機能するジストロフィンを合成できるようにした。

生後5カ月の筋ジス犬に週1回、計5回注射したところ、
注射する前より早く走れるようになった。
注射しなかった犬は、同じ期間に症状が進み、走るのが遅くなった。

足の筋肉細胞の中で、ジストロフィンが合成されることも確認、
心臓ではジストロフィンはほとんど合成されず、
筋肉の種類によっては効果が不十分なことも分かった。

▽デュシェンヌ型筋ジストロフィー

筋肉細胞の構造を支えるタンパク質ジストロフィンが、
遺伝子の変異によって作られず、筋肉が徐々に萎縮する遺伝性疾患。
男児の約3500人に1人が発症。
年齢とともに筋力低下などの症状が進行し、患者の多くは30歳までに
呼吸不全や心不全で死亡。
根本的な治療法は見つかっていない。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/6/8/101463/

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