2009年6月18日木曜日

3G携帯2兆元市場に食い込め

(日経 2009-06-11)

中国で、第3世代携帯電話(3G)の商用サービスが
本格的に始まった。
6億人以上が利用する世界最大の中国市場。
3G投資は、携帯向けソフト開発なども含めると2兆元(約29兆円)規模、
中国政府は景気刺激策の柱に位置づけ。
保護主義的な色彩も色濃いが、世界中の通信機器大手が
最大の商機に食らいつくなか、日本勢の存在感は薄い。

「3Gで生活を楽しくしよう」
中国携帯最大手、中国移動通信集団(チャイナモバイル)
北京市内の販売店では、女性販売員らが大声で呼びかける。
「ネットカフェに行かなくても、人気歌手の動画も簡単にダウンロードできる」
販売員が3G特有のサービスを紹介すると、顧客の女性は感心した様子。
「3Gを持っている人がまだ少なくて目立てる」と購入。

動画配信サービスは中国移動によると、ノキア・シーメンスの技術。
同社は、フィンランドのノキアと独シーメンスの携帯電話サービス会社、
「安定したサービスを評価して導入した」(中国移動)。

中国の3Gは、もともと2005年に始まる予定。
中国政府が中国移動に、中国独自の通信規格「TD—SCDMA」の
採用を義務づけ、開発が難航。09年までずれこんだ経緯。

現在主流の第2世代携帯電話(2G)では、
中国メーカーが育ってなかったため、通信設備では
ノキア・シーメンスやモトローラなど海外勢が席巻。
端末でもノキア、サムスン電子、モトローラが3強を構成。

「3Gでは、同じ過ちを繰り返さない。
中国企業に、内需拡大の恩恵を与えるように政策配慮している
(工業情報化省幹部)。
3Gでは、国内通信設備大手の中興通訊や華為技術、
大唐電信科技に通信設備を発注。
3G端末でも現状は国産メカーの比率が高い。

「欧米の先進技術を使って、消費者の購買意欲を刺激することも大切」
(民間調査会社幹部)
中国移動は、3Gサービスをノキア・シーメンスから導入、
携帯向け半導体大手STエリクソンと5月に提携、
3G向け低価格端末の開発で合意。

STエリクソンは、多くの外資系端末メーカーに半導体を提供、
中国でも海外メーカーのシェアが広がる可能性。
ノキアの中国法人幹部は、「世界の携帯電話市場が停滞するなか、
中国市場で業績を伸ばしていくしかない」

一方、日本勢で存在感のあるのはシャープくらい。
大都市の女性層などに売り込んでいるが、シェアはわずか。
「欧米韓大手と比べ、中国市場で投じている広告宣伝費はケタ違いに少ない。
将来は劣勢になる恐れもある」(中国の広告宣伝会社関係者)

日中政府間では、麻生太郎首相や鳩山邦夫総務相が訪中。
中国政府側と、次世代携帯電話の技術協力に関して合意。
日本のコンテンツやアプリケーション(応用)ソフトを
中国への導入などを目指す。

中国では、動画などの多くが無料で楽しめ、著作権への考え方も異なり、
日中政府間の合意の進展は簡単ではないが、
中国側にも、「日本のように通話以外の課金ビジネスをうまく育てたい」
(中国移動幹部)との思いは強い。
日本企業が、中国企業とのビジネスにどれだけ深く入れるか?
これから正念場を迎える。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/ittrend/itt090609.html

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