2008年6月25日水曜日

ヘモグロビンA1C値はその後の糖尿病による死亡率に強く関連する

(Medscape 6月9日)

ヘモグロビンA1C(HbA1C)値は、以前に糖尿病と診断されていない
男女のその後の死亡率に強く関連することを示す、
HbA1C値とその後の死亡リスクに関する最大の研究結果が、
『Diabetes Care』6月号に報告。

マッセー大学公衆衛生研究センター(ニュージーランド)のNaomi Brewerらは、
「当初、糖尿病がみられない被験者のHbA1C値とその後の死亡リスクとの

関連について検討したプロスペクティブ(前向き)研究は、わずかしかない」。
「HbA1C値とその後の死亡率との関連が認められた。
HbA1C値は、1型糖尿病および非糖尿病性慢性腎疾患患者の死亡率や
心血管疾患の発症とも関連」。

本研究の目的は、ニュージーランド人におけるHbA1C濃度と死亡率との
関連を評価すること。
肝炎財団(Hepatitis Foundation)のB型肝炎検査キャンペーンにおいて
HbA1C検査を受けた参加者は、1999~2004年まで、
国民死亡データベースに匿名でリンク。
コックス回帰分析を用い、年齢、民族性、喫煙習慣、性別について
補正したハザード比(HR)を推定。

参加者47,904例のうち、71%がマオリ族、12%が太平洋民族、
5%がアジア系、12%がその他。
HbA1C値が4.0%未満であったのは142名、
4.0~5.0%未満(基準カテゴリー)は12,867名、
5.0~6.0%は30,222名、6.0~7.0%は2,669名、7.0%以上は1,596名。
408名は、以前に糖尿病の診断を受けていた。
追跡調査期間中、815名の死亡。

以前に糖尿病の診断を受けていない参加者において、
全死因による死亡のHRは、HbA1C値の基準カテゴリーから
最高値カテゴリー(7.0%以上)まで着実に上昇。
HbA1C値は、循環器疾患、内分泌疾患、栄養疾患、代謝疾患、
免疫疾患による死亡、その他および原因不明の死亡とも関連。
以前に糖尿病の診断を受けた参加者でも、死亡率の上昇が認められたが、
HbA1C高値では部分的にしか説明できなかった。

「この研究は、HbA1C値およびその後の死亡リスクに関する最大の研究。
今回の結果は、以前に糖尿病の診断を受けていない男女において
HbA1C値がその後の死亡率に強く関連、過去の知見を確認するもの」。

本研究の限界として、人体測定データと他の心血管リスク因子の情報がない、
短い追跡調査期間、HbA1C検査時の糖尿病により血糖値が上昇していた
可能性が除外できない、具体的な死因の誤分類、参加者は
地域集団に基づく集中的なB型肝炎検査プログラムに登録、
本知見を全人口に一般化できない可能性がある。

HbA1C高値に伴う過剰な死亡リスクは、様々な原因によるが、
特に内分泌・栄養・代謝・免疫疾患および心血管疾患との強い関連。
しかし、以前に糖尿病の診断を受けた参加者において、
HbA1C値では、上昇した死亡リスクの一部しか説明できなかった」

Diabetes Care. 2008;31:1144-1149.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=75484

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