(読売 6月30日)
地域から疎んじられていた学校に、地域住民による“応援団”ができた。
愛知県立内海高校の放課後、学校前の通りを花で彩るための
草刈りが行われた。
生徒と一緒に汗を流していた「内海高校サポーターの会」会長の
内田敏明さん(62)が、生徒らに問いかけた。
「君らの捨てたごみがあると思うか」
かごいっぱいに集まったごみを見て、生徒らがうなずく。
「『捨てるのはやめよう』と、みんなに広めていかなきゃな」と諭した。
サポーターの会は昨年9月に発足、通学路の草刈りのほか、
部活動の試合の応援にも駆け付ける。
約60人の会員は、内田さんの知人やOBら地域の大人たち。
「3年前、会社を辞めて地元に戻ると、茶髪だった生徒が様変わり。
学校を変える先生はすごいなと思った。今度は我々が応援する番」
生徒会長の栃沢直人君(17)は、
「試合に応援に来てくれてうれしいし、感謝している」
知多半島の南部にある学校が荒れたきっかけは、
1989年、県立高校の入試が複合選抜方式に変わったこと。
地元の生徒が、半田市などの都市部を目指し、
都市部からは課題のある生徒が集まってきた。
「空き教室で消火器を噴射したり、水道を流しっぱなしにして
下の階まで水浸しにされたり。非常ベルも毎日のように鳴らされた」と、
西山けい子教頭(57)は振り返る。
90年代前半、一部生徒の指導に追われ、
学校全体がマヒするような状態。
学校が改革を始めたのは、2001年。
県教委が、知多半島の学校を対象に統廃合の検討を始め、
学校が危機感を抱いたため。
授業の規律を守ることから始めた。
「授業中に飲食をしない」、「ゲーム等で遊ばない」など、
9項目のルールを決めて各教室に張り出し、
同じ授業時間内で3回注意されると、補習を受けさせた。
頭髪や服装の指導を強めると、保護者から反対の恐れがあったが、
授業の規律徹底には、誰も異論がなかった。
身だしなみの指導にも取り組み、茶髪やピアス、化粧を禁止、
制服を一新した。
最初は、反発する保護者も多かったが、次第に理解してくれるように。
学年間のトラブルを懸念して、中断していた体育大会は05年に復活。
学校祭でも、生徒会を前面に出すなどして、
生徒に自信を持たせていった。
「おとなしくさせるだけでは教育ではない。生徒はやらせればできる」と
北川寿比己校長(58)。
統廃合は、2年前に見送りが決まった。
「必要な学校だとアピールできれば」と内田さん。
地域の過疎化が進む中、定員割れが続き、
中退率も約12%(08年度)と高いが、
地域に見られているという意識を生徒が持てば、
学校は良くなると信じている。
◆複合選抜方式
愛知県教育委員会が1989年から始めた入試方式。
県立高校の一般入試は1校しか受験できなかったが、
受験機会の複数化のため、2校まで受験できる。
推薦入試や2次募集を含めると、計4回受験できる。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090630-OYT8T00228.htm
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