2009年7月16日木曜日

昼間眠くてぼーっとする。解消する方法は?

(2009年7月10日 毎日新聞社)

就寝が毎晩午前1時過ぎと遅い、男性会社員(37)は、
昼過ぎになると、耐え難い眠気に襲われるのが悩み。
数年前に短時間の仮眠を取り入れて以来、頭はスッキリ。
午後の仕事も、支障なく続けられるように。

健康被害の少ない睡眠時間は、成人で6時間半から8時間。
国民全体の平均睡眠時間は7時間22分(05年)、
約半世紀で50分近く減った。

インターネット使用者の平日の睡眠時間は、
10代後半から40代までの約2人に1人が6時間未満、
10人に1人が5時間未満。

睡眠不足が健康被害を招く、とする研究事例は多い。
米研究チームが、健康な成人を対象に眠気や作業効率から
アルコール摂取量と睡眠不足との関係を調べ、
必要な睡眠より2時間不足する人(体重60キロ)は、
缶酎ハイ(180ミリリットル)4~5本程度を飲みながら
仕事をしていることに相当。

国立保健医療科学院の研究者らの調査では、
睡眠不足の労働者は、病欠の危険性が1・89倍、
人間関係の悪化2・44倍、
事故で加害者や被害者になる確率は1・48倍。
前夜に十分な睡眠を取っても、午後になると強い眠気に襲われた
経験を持つ人は多い。

国立精神・神経センターの白川修一郎・客員研究員(睡眠学)は
昼食の消化に伴う脳貧血が原因ではなく、
人間の生理現象によって、就寝時間の15時間後に眠気が強くなる。

眠気の解消と、脳のリフレッシュに効果があるのが、仮眠。
白川客員研究員は、「15~20分程度の短い時間の仮眠がいい
短時間仮眠は、脳の機能回復に役立つ。
15分の仮眠で、判断処理にかかる時間が15%近く、
注意力が2倍近く改善。
20分の仮眠で、眠気や疲労感が顕著に低下。

高齢者にとっても短時間の仮眠は有効で、
1時間未満の昼寝をする習慣のある高齢者は、
アルツハイマー病発症の危険率が5分の1に低下。

仮眠は有効だが、睡眠時間の長さには注意。
人間は寝始めると、深い眠りの「ノンレム睡眠」が現れる。
眠りの深さにより、1-4段階に分けられ、
3、4段階まで進むと容易には起きられない。
仕事をする能力が低下し、眠気が覚めず、居眠り事故を誘発する危険。
1、2段階で目覚めることが必要。
眠り始めてから15-20分に相当。

午後に2時間など長い仮眠を取ると、
夜間の睡眠で深い睡眠量が減少し、かえって有害。

短時間仮眠を導入する企業も現れた。
JR東海は07年、新幹線の運転士や車掌に搭乗約1時間前、
約20分間の仮眠が取れるように仮眠室を設けた。
運転の安全性維持が狙い。
導入後は、「頭がすっきりして集中力が高まった」、
「体が楽になり、事故防止の意識が高まった」などと好評。
同社東京広報室は、「効果をみて、他にも広げるか検討したい」

白川客員研究員は、「眠気を強く感じるのは、思考する上で重要な
脳の前頭葉の機能が低下している証拠。
短時間仮眠で、仮眠後2-3時間は脳がすっきりし、
判断ミスが減り、社会にも貢献する。
企業は、仮眠を積極的に導入すべき」と提言。
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◆短時間仮眠の上手な取り方

▽首や肩が凝らないよう、頭の位置が固定できる安楽椅子などを使用。
背もたれの角度は60度以上。
横になっての仮眠は目覚めにくく、睡眠から覚せいへの切り替えが困難。

▽足を伸ばすと楽に眠れ、足のむくみも解消。

▽直射日光が当たる場所、騒音の多い場所、暑過ぎる・寒過ぎる場所、
臭気の強い場所、振動の多い場所は避ける。

▽仮眠前に目覚ましをセットする。

▽目覚めをよくするため、お茶やコーヒーなどカフェイン入りの飲料を
仮眠前に飲む。仮眠後は簡単な体操や、冷たい水で顔を洗う、
ミントなど覚せい系の香りをかぐのがよい。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/10/104014/

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