2009年7月18日土曜日

スポーツ21世紀:新しい波/309 Back Softball/2

(毎日 7月11日)

ソフトボール界は今、野球界と行動を別にする。

6月のIOC理事会での16年五輪復帰に向けた
プレゼンテーションでも、国際ソフトボール連盟(ISF)の
ドン・ポーター会長は、「我々は野球の一部ではない」と強調。

両者は、05年のIOC総会で、12年ロンドン五輪での除外が決まった。
野球は、米大リーグの選手が出場しないことやドーピング問題が指摘。
野球より1大会遅れて、96年アトランタ五輪から正式競技となった
ソフトボールは、「野球の女性版」ととらえられる向きもあり、
野球の巻き添えになったとの見方も強い。

日本ソフトボール協会も、1949年の独立まで
全日本軟式野球連盟に併置されていたように、
両者は「縁戚関係」にあったが、今回の復帰運動ではライバル関係。

「野球と一緒に復帰を目指すとなると、ドーピングの問題で引っかかる。
大リーグも独自で検査し、改善されてはきているが、
世界反ドーピング機関(WADA)の検査は厳しい。
メジャーリーガーを五輪に出せと言われても、難しいのではないか」と
日本協会の鈴木征広報委員長。

ISFは今、野球と組織をともにする欧州各国に、
分離・独立を呼びかけている。
両者には温度差もある。五輪を失う打撃の大小からくる。

野球界は、プロ組織による資金力も、栄誉を求めるなら、
独自の「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」もある。
プロ野球のある球団幹部は、
「WBCだけでも、選手を(代表に)出すのは大変。
球団側にも見合ったメリットがないと」と、
むしろペナントレースに重きを置く声も。

ソフトボール界は深刻だ。
五輪3大会に出場した太陽誘電の山路典子監督(38)は、
指導で高校生に会う中で異変に気付いている。
「次の五輪がないからでしょう。
最近、学生から『五輪』という言葉が出てこない。
以前は、『五輪に出るために実業団で鍛えたい』と。
卒業後も続ける選手が減りはしないか」と案じている。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/07/11/20090711ddm035050009000c.html

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