2009年7月12日日曜日

サハラ砂漠を太陽発電基地に

(日経 2009-07-03)

日本の技術力を使えば、石油や石炭、ウランなどの燃料を使う
発電所を、世界からすべて撤去することができそう。

地球上の砂漠の約4%の面積に、太陽電池を設置し、
太陽電池同士と人の居住地を、送電時に電気が減らない
超電導ケーブルで結ぶ。
日が照る場所は季節や時間帯で変わるが、
送電網の中は常に電気で満たされる。
燃料を補給する必要はなくなる。

日本学術会議で、「サハラソーラーブリーダー(SSB)計画
と題する公開シンポジウムが開かれた。
会場には、科学者や技術者、企業関係者など約200人が集まった。

SSB計画は、アフリカのサハラ砂漠を皮切りに、
日本と現地の産業と科学、政府関係者が協力して、
砂漠に太陽電池工場を建設し、工場周辺に太陽電池を設置する計画。

砂漠の砂には、シリコンの原料となる酸化シリコンが豊富に含まれる。
砂漠の工場で高純度のシリコンを精製し、太陽電池まで作ってしまう。

サハラに続いて、他の地域の砂漠にも同様の設備を造る。
仕上げは超電導ケーブルでの接続。
2050年までに、CO2排出量を今の半分にすることを目指す。

荒唐無稽に聞こえるかもしれないが、実はこの計画は、
イタリアのラクイラで開く主要国首脳会議(サミット)に先立ち、
学術会議の金沢一郎会長と唐木英明副会長が、
麻生太郎首相と野田聖子・内閣府特命大臣に伝えた。

唐木副会長は、「個人用資料として持参したSSB計画書を
首相に手渡したところ、野田大臣まで『私にもいただけませんか』と、
2人ともたいへん興味を持ってくれた」

ローマでのアカデミー会合。
「エネルギーと気候変動」という内容に関し、
学術会議の連携会員でSSB計画の立案者である
物質・材料研究機構の鯉沼秀臣特別顧問が内容を説明。
「参加者から賛同を得た」
唐木副会長が総理に手渡したのは、この資料。

アカデミー会合で決まった参加国の共同声明文に、
SSB計画について触れられていない。
声明文に、CO2削減の具体的技術も書いてない。
一体どうやってCO2を減らすのか、触れられていないのは
どう考えてもおかしな話。

シンポジウム後の懇親会では、「日本の隠し玉として、サミット本番で、
麻生首相の口からSSB計画の内容を紹介してほしい」と期待。

SSB計画のベースは、三洋電機の桑野幸徳元社長が
1989年に提案した「GENESIS計画」。
内容はほぼ同じだが、スタート地点にサハラ砂漠を選んだことで
「SSB計画」と名づけられた。

東京大学理学系研究科は、サハラ砂漠でなく、南米チリのアタカマ砂漠で
同様の計画「SolarTAOプロジェクト」を今年スタート。
学術会議のシンポジウムでは、SolarTAO計画の責任者、
東大の吉井譲教授が講演。
「SolarTAOでベースをつくって、SSBにつないではどうか」と提案。

SSB計画とSolarTAOプロジェクトでは、
太陽電池と超電導の関係者が相当に重なっている。
「両方同時に進めようとすれば、両方とも中途半端になるかも」、
世界の砂漠を早く獲得し、日本の高い技術力を示すには、
もたもたしてはいられない。

専門の科学者、技術者を総動員してでも同時にスタートすべき。
アフリカと南米にまず拠点を作り、オセロゲームのように
世界中の砂漠に、日本製の太陽電池と超電導ケーブルを
張りめぐらせてほしい。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/techno/tec090702.html

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