(2009年7月10日 共同通信社)
要介護度の悪化や心身の衰えを防ぐ介護予防が、
2006年度に介護保険に導入されてから3年。
筋力向上トレーニングなどの成果は出たのか?
参加した後、いかに継続できるかも課題。
現状などを調べた。
高知市の西原喜美子さん(71)は、「いきいき百歳体操」に
通い始めてから、ひざの痛みが軽くなり、
できなかった正座ができるようになった。
体操は約1時間。
主にいすに座って、手や足に重りをつけて体を動かす。
以前、医師に勧められた体操教室は続かなかったが、
「痛みを気にせず、座って気楽にできるのが自分に合った。
絶対に続けていきたい」
いきいき百歳体操は、高知市が米国の事例などを参考に、
高齢者が無理なくできる体操として独自に考案。
要介護認定の有無に関係なく、参加できる。
市内の231カ所で実施、約5千人が参加、全国にも広がりつつある。
担当者は、「行政の押し付けでなく、自主的にやってもらうのが
続けるポイント。体が動きやすくなったと好評で、
住民の交流にもつながっている」
介護予防は、将来の要介護高齢者と介護給付費を減らす狙いで、
要介護度の軽い「要支援1」、「要支援2」を対象に導入。
デイサービスでの体操や筋トレのほか、口腔ケア、低栄養にならない
ための栄養指導などが中心。
介護予防効果について、厚生労働省が要支援1の認定を受けている
1000人を対象に1年間、追跡調査、
要介護度が悪化した人が16%減り、
1人当たりの費用は約10万7千円削減。
65歳以上の1人当たり給付費も、06年度には減少。
介護予防の取り組みが、必ずしも成功したとはいえない。
「給付費減少は予防効果ではなく、制度変更で軽度者が
介護サービスを使えなくなったため」
介護予防として注目された筋トレだったが、
マシンの費用が高い上、やめると元に戻る人が少なくなかった。
「今も筋トレマシンに力を入れている所は、ほとんどないのではないか」
筋トレの指導者養成が進まないため、
効果が不明なレクリエーション的な介護予防のほか、
閉じこもりで本当に介護予防が必要な人にどう参加してもらうか、という課題。
淑徳大の結城康博准教授は、「予防は保険の枠外でやるべきもので、
保険給付に入れるべきではなかった。
(次期予定の)2012年度の制度改正で、軽度者を保険から外すことと
介護予防がからめて議論される懸念がある」
適度な運動やかむ力を保ち、バランスの取れた食事をすることは、
高齢者の生活に多くのメリット。
将来、介護予防が介護保険から外れたとしても、
国の政策に踊らされず、自治体が無料で開いている教室などを
うまく利用し、長く続けられる自分なりの介護予防法を見つけるのが賢明。
※介護予防
2006年4月の介護保険制度改正で、新たな認定区分に加わった
要介護度の軽い「要支援1」、「要支援2」の人を対象にしたサービス。
要介護度が進まないよう、身体の機能を向上させたり、維持したり
するために、施設で体操や筋力トレーニングなどをする
運動器の機能向上、食事などの栄養改善指導、歯を清潔に保ったり、
飲み込む力をつける口腔ケアなど。
将来的に要介護状態になる恐れがある「特定高齢者」や、
一般の高齢者も市町村の地域支援事業の介護予防対象者で、
介護保険からも事業費が拠出。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/10/104029/
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