2009年7月16日木曜日

運動などの継続が課題 筋トレマシンは普及せず

(2009年7月10日 共同通信社)

要介護度の悪化や心身の衰えを防ぐ介護予防が、
2006年度に介護保険に導入されてから3年。
筋力向上トレーニングなどの成果は出たのか?
参加した後、いかに継続できるかも課題。
現状などを調べた。

高知市の西原喜美子さん(71)は、「いきいき百歳体操」に
通い始めてから、ひざの痛みが軽くなり、
できなかった正座ができるようになった。

体操は約1時間。
主にいすに座って、手や足に重りをつけて体を動かす。
以前、医師に勧められた体操教室は続かなかったが、
「痛みを気にせず、座って気楽にできるのが自分に合った。
絶対に続けていきたい」

いきいき百歳体操は、高知市が米国の事例などを参考に、
高齢者が無理なくできる体操として独自に考案。
要介護認定の有無に関係なく、参加できる。
市内の231カ所で実施、約5千人が参加、全国にも広がりつつある。

担当者は、「行政の押し付けでなく、自主的にやってもらうのが
続けるポイント。体が動きやすくなったと好評で、
住民の交流にもつながっている」

介護予防は、将来の要介護高齢者と介護給付費を減らす狙いで、
要介護度の軽い「要支援1」、「要支援2」を対象に導入。
デイサービスでの体操や筋トレのほか、口腔ケア、低栄養にならない
ための栄養指導などが中心。

介護予防効果について、厚生労働省が要支援1の認定を受けている
1000人を対象に1年間、追跡調査、
要介護度が悪化した人が16%減り、
1人当たりの費用は約10万7千円削減。
65歳以上の1人当たり給付費も、06年度には減少。

介護予防の取り組みが、必ずしも成功したとはいえない。
「給付費減少は予防効果ではなく、制度変更で軽度者が
介護サービスを使えなくなったため」

介護予防として注目された筋トレだったが、
マシンの費用が高い上、やめると元に戻る人が少なくなかった。
「今も筋トレマシンに力を入れている所は、ほとんどないのではないか」
筋トレの指導者養成が進まないため、
効果が不明なレクリエーション的な介護予防のほか、
閉じこもりで本当に介護予防が必要な人にどう参加してもらうか、という課題。

淑徳大の結城康博准教授は、「予防は保険の枠外でやるべきもので、
保険給付に入れるべきではなかった。
(次期予定の)2012年度の制度改正で、軽度者を保険から外すことと
介護予防がからめて議論される懸念がある」

適度な運動やかむ力を保ち、バランスの取れた食事をすることは、
高齢者の生活に多くのメリット。

将来、介護予防が介護保険から外れたとしても、
国の政策に踊らされず、自治体が無料で開いている教室などを
うまく利用し、長く続けられる自分なりの介護予防法を見つけるのが賢明。

※介護予防

2006年4月の介護保険制度改正で、新たな認定区分に加わった
要介護度の軽い「要支援1」、「要支援2」の人を対象にしたサービス。

要介護度が進まないよう、身体の機能を向上させたり、維持したり
するために、施設で体操や筋力トレーニングなどをする
運動器の機能向上、食事などの栄養改善指導、歯を清潔に保ったり、
飲み込む力をつける口腔ケアなど。

将来的に要介護状態になる恐れがある「特定高齢者」や、
一般の高齢者も市町村の地域支援事業の介護予防対象者で、
介護保険からも事業費が拠出。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/10/104029/

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