(日経 7月9日)
ソニーは、年間2兆5000億円に上る部品や資材の調達コストを、
2009年度に約2割削減。
部門ごとに分散していた調達機能を集約し、10年度末をメドに、
2500社ある取引先も、半分以下の1200社程度に絞り込む。
調達戦略見直しの背景や狙いについて、
新設された調達本部の高野瀬一晃本部長(55)に聞いた。
——調達機能を一元化する狙いは何か?
「従来も、プロキュアメント(調達)センターはあったが、
各事業本部にも調達機能があり、デジタルイメージング
(DI、デジタルカメラやビデオカメラ)ならDI、ゲームなら
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が、
自分の部門分だけで部品メーカーと個別に交渉・調達。
製品単価が下がる一方、部品の購入額はさほど増えない。
調達を集約することで、量をまとめて交渉力を高める」
——取引先の絞り込みも、コスト削減が狙いか?
「取引先の数は減らすが、残った取引先との取引量は増える。
その分は、コスト面で協力をお願い。
短期コストだけみて、競争力のない製品を作っても仕方ない。
中期的には、提案力のある部品メーカー、差異化技術をもった
部品メーカーに増えてほしい。
従来は、取引先を『サプライヤー』と呼んでいたが、
今後は『パートナー』と呼ぶ」
——一元化をどう進めるのか?
「調達本部を設けたといっても、魔法が使えるわけではない。
部材調達の専門部署、3年程度先の商品を見据えた
部品開発の担当部署、1年程度先をみた具体的な機種設計の
担当部署が、三位一体となって、部品や取引先の選定を進める。
縦の事業部と密に連絡をとりながら、プロバイヤーも育てたい」
——製造面では社外委託が進んでいるが、
調達業務も含めた委託は進むのか?
「汎用部品の調達なら、EMS(受託製造会社)の購買力は強いが、
重要な部品になると、部品メーカーがEMSに直接売るのを嫌がる。
ソニーとしても、おさえておきたい部品もある。
製造委託したとしても、全部丸投げにはしない。
大規模集積回路(LSI)やメモリーなどリードタイムが長く、
高コストで生産能力にも、制約があるような部品は戦略的に調達、
一定の購買力を確保する。部品ごとに考える」
——部品の標準化はどの程度進めるのか?
「テレビだけで、現在2000種類くらいの部品。
メーン基板でいえば、07年で12程度を、11年には3つに。
種類を減らし、1種類当たりの数量を増やすが、
標準化や共通化は調達本部の力だけではできない。
事業部の設計者に協力してもらうことが必要。
独自仕様で、過剰な性能を持つ部品を使うのではなく、
設計段階から『デザイン・トゥー・コスト』という意識で協力。
この活動は、テレビ事業本部で展開し、今年度は全社に横展開」
——既存の取引先と条件見直しを進めるのか?
「コスト削減は、毎年お願いしている。
今年度の製品に使う部品は決まっているが、業績面で相当厳しい。
例年に増して、コスト削減を進める必要。
パートナーの部品メーカーには、今年度も協力してほしいとお願い。
10、11年度の部品選定に反映していきたい」
——取引価格の見直しはいつから実行?
「第2四半期(7~9月)から実施。
エレクトロニクス製品は、(年末商戦に向けた)調達・生産のピークを迎える。
ピークを過ぎた後、コスト削減をしても仕方ない」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090707.html
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