2009年7月9日木曜日

高校再生(4)移転契機 新たな校風へ

(読売 6月27日)

不正な手段で元生徒の入学を阻止した背景には、
問題再発への恐れがあった。

「(改ざんより)入学してくる方を問題視していた」
昨年11月、都立日本橋高校で2006年の入学試験結果の
改ざんが発覚した。
退学後に再受験してきた2人の元男子生徒を
不合格にしたことについて、当時の校長が都教育委員会に語ったのは、
学校が再び荒れることを恐れる言葉だった。

2人が入学したのは05年4月。
当時の同校は東京・中央区のビル街にあり、小学校を転用した小さな学校。

05年度の中退率は6・7%(28人)。
都内の平均(2・4%)に比べて高く、学校は指導に追われていた。
「昼に校外に出ると帰ってこないし、授業中でも廊下を歩いている生徒がいた」
当時を知る関係者は語る。
狭い校舎で、生徒がストレスをためないようにと、
昼休みの外出は認めたが、校外での食べ散らかしや喫煙に苦情。

2人のうち1人は、校内で暴力やいじめの問題があり、
複数の生徒がいじめを受けて学校を辞め、
怖がって不登校気味の生徒もいた。
もう1人は、校外で補導されたことがあった。
2人は同年12月、それぞれ自主退学したが、翌春の入試に再受験。

学校は対応に苦慮した。
移転を09年に控え、学校としても早い時期の立て直しを図っていた。
服装は、私服から制服にすることを決め、
入試では生徒の意欲を見る面接を導入することも決定。

「校内には、予備軍的な生徒がたくさんおり、
2人が入学すれば学校が落ち着かなくなると予想」
2人とも合格圏内にいたが、校長の指示で調査書などを改ざんし、不合格に。

「フェアじゃないし、教師としてあるまじきこと」
石原慎太郎都知事は厳しく断じた。
都教委は、「ルールを曲げてまでやる行為ではない。
絶対あってはいけないこと」と、
当時の校長を懲戒免職、副校長を停職3か月の処分。

当時、同校の入試に面接はなかった。
元生徒らは、再入学への思いをアピールできず、
学校側も意欲で合否を判断できる権限はなかった。

問題発覚から半年後、同校は墨田区に移転。
3学年とも制服で統一され、生活面の指導も行き届き、
昨年度の中退率は3・4%(14人)まで下がっていた。

今年度から3年間、都の重点支援校になった。
「茶髪・遅刻ゼロ」を目標に掲げて生活指導に力を入れ、
校舎が狭いために十分でなかった部活動も充実。
ボートが盛んな墨田区に来たことで作ったボート部は、
13年の東京国体に向けた都教委の国体強化部活動候補。

「過去には、自由な校風が風紀の乱れにつながった時期も。
部活を活発にし、授業を充実させて進路の決定率を上げていきたい」
八戸伸二校長(59)は話す。

移転を追い風に、新しい学校づくりが進んでいる。

◆入学試験結果の改ざん

2006年2月に行われた都立日本橋高校の入学試験で、
当時の校長が当時の副校長に指示。
合格圏内にあった2人の元男子生徒の調査書や自己PRカードの
評価を低く、他の受験者の評価を高く改ざんするなどし、
2人を不合格にした。
試験は62人が受験し、合格ラインは60位。
改ざん前の2人の順位は34位と59位。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090627-OYT8T00257.htm

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