2009年7月5日日曜日

社会還元意識した研究6割

(サイエンスポータル 2009年6月23日)

大学・公的研究機関では、社会還元を意識した研究が
6割程度行われていることを、
科学技術政策研究所「政府投資が生み出した成果の調査」で明らかに。

この調査は、科学技術基本計画がどの程度、実行されているかを
追跡するために行われた。

科学技術政策研究所が公表した報告者は、
第2期(2001-05年)、第3期(06年~)の科学技術基本計画中に
得られた研究成果として、189機関から回答のあった1,052件を分析。
第3期科学技術基本計画では、6つの大目標を掲げ、
このうち4つの目標が成果の社会還元を重視したもの。

調査の結果、社会での位置づけや活用をある程度明確に意識した
研究に該当するとされた成果が全体の62%を占め、
科学技術政策研究所は、大学・公的研究機関では、
社会還元を意識した研究が6割程度行われている。

同研究所は、1,052件の中から代表的な成果として39件を選び、
「大学・公的研究機関の多様な成果事例集」としてまとめた。
社会還元、活用を目標としたものは29件あり、
以下のような成果が含まれている。

「超高効率な発電性能を有する風レンズ風車の開発と
高精度な数値風況予測による風力エネルギーの有効利用」(九州大学)、
「常温でセラミックスを作る省エネプロセス技術」(産業技術総合研究所)、
「アルツハイマー病の原因物質の分子メカニズム解明」(理化学研究所)、
「緊急地震速報の実用化と進展」(気象研究所)、
「インフルエンザウイルス感染過程の解明とその応用」
(科学技術振興機構=代表研究機関・東京大学)

社会還元する方向が特定しにくい2つの政策目標、「飛躍知の発見・発明」、
「科学技術の限界突破」に該当する代表的成果として、
「新系統の高温超伝導物質を発見」(東京工業大学)、
「新しい光ナノ構造『フォトニック結晶』の開発とそれによる
自在な光制御の実現」(京都大学)、
「月の起源と進化の解明に迫る、月周回衛星『かぐや』」
(宇宙航空研究開発機構)、
「地球深部探査船『ちきゅう』の建造と
『南海トラフ地震発生帯掘削計画』の開始」(海洋研究開発機構)など
10の成果が挙げられた。

今回、これら39の事例とは別に、政府の支援が功を奏した
代表的な成果12例を、「政府投資が支えた近年の科学技術成果事例集
として挙げている。

「iPS細胞の創出」、「脳科学の展開」、「地球と宇宙の探査・観測技術」、
「X線自由電子レーザーと大型放射光施設」、「次世代蓄電システム」、
「希少金属回収技術」、「次世代画像表示技術(有機EL)」、
「ユビキタス社会を支えるメモリと高速無線通信ネットワーク」、
「動脈硬化予防・治療法(高脂血症治療薬)」、
「重粒子線がん治療技術」、「新興・再興感染症の制御技術」、
「自然災害の減災システム技術」

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0906/0906231.html

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