2009年7月5日日曜日

水と緑の地球環境:宮脇方式で初、モデル植林 被災地で導入検討--林野庁

(毎日 6月23日)

林野庁と大きく異なる独自の植樹法で、国内外の森林再生を指導する、
宮脇昭・横浜国大名誉教授(植物生態学)による同庁初の植林が、
広島県呉市の野路山国有林で行われた。
北海道を除く、全国6カ所の森林管理局職員ら参加した約70人は、
宮脇氏の指導に戸惑いながらも、12種の広葉樹約2000本を植えた。

同庁の植林は、木材生産の効率性を重視。
穴を掘って、主にスギ、ヒノキの単一樹種の裸苗を整然と植え、
単一林をつくる。
宮脇方式は、地面全体を掘り返し、酸素を供給し、
根を張りやすくした上で、土地本来の多様な広葉樹のポット苗を
交ぜ、密集させて植える。

両者は長年接点がなかったが、密植による競り合い効果で、
10~15年の短期で森の形状に成長させられるという、
宮脇方式の早期森林化に同庁は注目。

同国有林は、04年の台風で、ヒノキの単一林0・7ヘクタールが倒木。
再植林しなければ、表土が流出し災害を誘発する可能性があり、
早期復旧に迫られていた。
ドイツでは、90年の暴風で年間木材生産量の約2倍の人工林が
被害に遭い、針葉樹の単一林から土地本来の広葉樹を交ぜる政策に転換。

植林前日、宮脇氏の講演で、管理局職員らを前に、
本郷浩二・同庁業務課長は、「我々は、針葉樹を植えすぎた、と言えば
言い過ぎだと言われるかもしれない。
しかし(間伐など作業が困難な場所まで植えたため)、
現実に管理放棄された場所が被害に遭っている」、
「(被災地を)森林に早く戻すのに、宮脇先生の造林の仕方もある」

同庁は、今回の植林を継続させ、0・7ヘクタールの被災林に
合計2万本の広葉樹を宮脇方式で植える。
コストなどを検証し、自然災害の被災地の復旧に宮脇方式の導入を検討。

宮脇氏も、「生態学的手法による森づくりを、国有林から民有林まで
広げてほしい」と協力的で、国土や環境の保全に向けて、
両者が接点を得た意味は大きい。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/06/23/20090623ddm012040123000c.html

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