2009年7月6日月曜日

スポーツ21世紀:新しい波/307 toto好調の波紋/6止

(毎日 6月20日)

国は、スポーツ振興の新たな指針づくりへ動き始めた。

議論の舞台は、文部科学省
「中央教育審議会スポーツ振興に関する特別委員会」。
スポーツ界出身者や大学教授らをメンバーに、
2011年度からの新スポーツ振興基本計画策定を視野。
関係団体へのヒアリングでは、売上額が急増した
スポーツ振興くじ(toto)への期待の大きさも伝わった。

全国高校体育連盟の梅村和伸専務理事は、
「totoの財源が増えたので、広く積極的に活用できるように
条件を整備してほしい。スポーツ庁の設置も急務」

1961年制定のスポーツ振興法に基づき、
現行のスポーツ振興基本計画が策定されたのは00年9月。
法制定から約40年後。
スポーツ予算の乏しい時代が長く続いたが、
98年、toto関連の法律ができ、01年から全国発売。
その収益は、計画を推進する財源と期待。

totoの売り上げ急増は、スポーツ行政の在り方に影響を及ぼす可能性。
現在、自民党を中心に、与党はスポーツ振興法を全面改正する形で、
スポーツ基本法制定を目指す。
遠藤利明衆院議員(自民)は、
「浮き沈みのあるtotoに過大な期待はしない」、
財源が膨らめば、計画の実効性を担保し、後押しする材料に。

懸念もある。
スポーツ振興法では、「スポーツを国民に強制しない」など、
国民の「自主性」を重視。
与党のスポーツ基本法案は、自主性を踏まえつつ、
競技力向上を念頭に「国家戦略」の位置づけを打ち出し、
「スポーツ立国を実現することは、我が国の発展のために
不可欠な重要課題。
国家戦略として、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進する」

10月、16年東京五輪招致に答えが出る。
スポーツ振興への関心は高まるが、国策化により政治の関与が
強まる懸念もぬぐえない。
慎重な議論が求められる。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

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